仏遠征レポート「世界の基準を知り、初勝利でつかんだ確かな“個の証明”」【B.LEAGUE U18選抜チーム】

フランス・ショレで開催された「第42回 CHOLET MONDIAL BASKETBALL」。B.LEAGUE U18選抜チームは、予選グループでヨーロッパの強豪に連敗を喫し、9-12位決定戦へと回ることとなった。大会後半の3試合では持ち味であるディフェンスの強度とスピードを発揮。スペインのELX BASKET ACADEMYから見事な大会初勝利をもぎ取り、秋葉真司ヘッドコーチの掲げる大会テーマ“個の証明”を体現してみせた。12位で終えることになった大会の最終成績とともに、選手たちが見せた連戦の軌跡を振り返る。
修正力を見せた9-12位決定戦
4月4日に行われた9-12位決定戦の初戦。相手はフィンランドのDrive Academy Elite basketballだった。日本のスターターは初戦と同じ宮里俊佑(琉球)、棚橋康成(SR渋谷)、深水虎太郎(千葉J)、江原行佐(横浜BC)、プラット聖也(長崎)。開始直後、宮里のマークマンに対して江原がトラップディフェンスを仕掛けてターンオーバーを誘発。トランジションからの展開で棚橋が3Pシュートを決めた。204cmのビッグマンにボールを集められ失点を許すものの、ボールマンにはしっかりプレッシャーをかけ、22-24の僅差で前半を折り返した。
しかし3Q、相手はピックアップを早め、B.LEAGUE U18選抜チームに苦しいオフェンスを強いると、速いテンポの攻撃を見せて一気に点差を広げてきた。このクォーターを6-22とされ、28-44で最終クォーターを迎えた。それでも、選手たちの集中力は切れていなかった。4Q開始直後に古河シェーン(SR渋谷)がオフェンスリバウンドをもぎ取ってプットバック。さらに佐藤駿(名古屋D)のレイアップやフローター、深水の3ポイントプレー、藤田翔(名古屋D)の3Pシュートなどで流れを作り、このクォーター単体では21-16と相手を上回ってみせた。3Qの失点がのしかかり最終スコアは49-60で敗戦となったものの、2Pシュートの成功率は3試合で最高の48.3% (14/29)で、ペイント内で24得点など、高さを恐れずアタックする姿勢が光る試合となった。
試合後、チームトップの18得点をマークした棚橋は「自分たちはサイズがない分、速さやディフェンスのインテンシティが強み。オフェンスのフローを循環させて一人一人の強みを発揮できれば勝機が見えると感じました」と手応えを語っていた。加えて秋葉HCも「前半やられていたダイブに対する対処や、ペースを上げることを伝え、選手個々が悩みながら答えを出そうとした非常にポジティブなゲームでした」と振り返り、チームの確実な成長を感じ取っていた。
試合結果
2026.4.4
●49-60 vs. Drive Academy Elite basketball
B.LEAGUE U18選抜チーム 49
14| 8| 6|21
15| 9|20|16
Drive Academy Elite basketball 60
トップパフォーマー
#6棚橋康成 18得点(3Pシュート4/8)5リバウンド
#10古河シェーン 9得点(2Pシュート4/6)4リバウンド
プレッシャーを強め、遂に手にした世界での初勝利
確かな手応えを得て臨んだ翌5日。スペインのELX BASKET ACADEMYとの対戦で、待望の勝利が訪れる。
スターターには古河が初めて名を連ねた。開始4分半は無得点という苦しい立ち上がりになったものの、失点もわずか3点に抑えるなど我慢の展開に。ここから宮里の初得点を皮切りに、古河のフリースロー、深水のジャンパー、佐藤のフローターなどでオフェンスが活性化し、12-6と今大会初となるリードを奪って1Qを終えた。
2Q、相手はゾーンディフェンスも織り交ぜて対抗。ペイントアタックが難しくなったものの、高橋がトップから3Pシュートを立て続けに沈めるなど2Qだけで10得点と活躍。ディフェンスでも徹底したマークで相手のフィールドゴールを2本に抑え、30-15で前半を折り返した。
それでも、すんなりと勝たせてはくれない。3Qに入ると相手のプレッシャーがさらに強まり、差を詰められて40-36と僅差リードで最終クォーターを迎えた。それでもB.LEAGUE U18選抜チームはディフェンスから流れを手繰り寄せる。4Q開始直後、棚橋が好守を見せてターンオーバーを誘発。素早くフロントコートへ駆け上がると、パスを受けて3Pシュートを射抜く。直後にはディフェンスリバウンドからの速い展開で深水が3Pシュートを決め、開始1分半で9-0のランを作り相手を再び突き放した。
終盤には再び3点差まで詰められ、ファウルゲームを展開されたが、プレッシャーがかかる場面で古河がフリースローを2本とも沈め、55-51で今大会初勝利を果たした。リバウンドでは31-45と劣勢だったものの、19本のターンオーバーを誘発し、そこからの攻撃で17得点を生み出した。高橋は3Pシュート3本を決めてチームトップの14得点。棚橋と宮里も9得点をマークし、深水は出場時の得失点差を表す+/-の数値で+20という効果的なプレーを見せた。
試合結果
2026.4.5
○55-51 vs. ELX BASKET ACADEMY
ELX BASKET ACADEMY 51
6| 9|21|15
12|18|10|15
B.LEAGUE U18選抜チーム 55
トップパフォーマー
#14高橋秀成 14得点(3Pシュート3/10)5リバウンド
#7宮里俊佑 9得点6リバウンド1スティール
#6棚橋康成 9得点(3Pシュート3/10)
世界のスタンダードを知った経験を越えて
初勝利で勢いに乗りたいB.LEAGUE U18選抜チームだが、チェコのCZ ACADEMYとの最終戦はまたも苦しい展開となった。200cm台の選手を4人擁する相手のプレッシャーを前に、ズレを作ることができず、0-12という苦しいスタートとなった。2Qに入ってもディフェンスを崩すことができず、トランジションから得点を重ねられ7-27の大差で前半を終えた。
3Q、ボールマンへのプレッシャーを強めてミスを引き出すと、小松亮太(秋田)がプットバックで3ポイントプレーを決めるなど随所に良い攻防も見せたが、30点以上のビハインドをすぐには詰められなかった。4Qでは高校1年生の山野井皓(SR渋谷)が自らのスティールからレイアップを決め、終盤には棚橋が3Pシュートを3本立て続けに射抜くなど意地を見せ、このクォーターは17-17と互角に打ち合ったものの32-61で敗北を喫した。結果、B.LEAGUE U18選抜チームは1勝4敗の12位で大会の全日程を終えた。なお、今大会の“Most fair play coach”には秋葉HCが選出されている。
試合結果
2026.4.6
●32-61 vs. CZ ACADEMY
CZ ACADEMY 61
12|15|17|17
5| 2| 8|17
B.LEAGUE U18選抜チーム 32
トップパフォーマー
#6棚橋康成 12得点(3Pシュート4/5)
#7宮里俊佑 8得点4リバウンド3アシスト
日本と世界の縮図を体感。未来につながる“個の証明”
全日程を終え、秋葉HCは「世界と日本の縮図をしっかりと体感し、今後どのような方向に向かっていくべきなのかを大きな学びとして得られた大会になりました」と総括する。今大会を通じて、選手たちにはチームコンセプトである“個の証明”に真っ向から挑ませた。「自分らしさを再確認した選手、悔いが残った選手、出し切ったけれど課題が残った選手とそれぞれいたが、しっかりと自分の力を証明しようと取り組んだからこそ得られた経験値でした。可能性を探りながら試行錯誤することで、想像を上回るプレーや意外性のある課題を見せてくれたことが何よりの収穫でした」と手応えを口にする。とりわけ、このタフな大会を通じてプラット、佐藤、小松は成長を見せたと名前を挙げている。
一方、違う角度の課題として「高さを埋められるスピードとフィジカリティの甘さ」「個の弱さと、個に対する原理原則の浸透の甘さ」を挙げた秋葉HC。世界との差を埋める指標として「アメリカ的なバスケと対等以上にやり合う“個”」と、「ヨーロッパ的なバスケをスピードと個で壊せる“組織力”」の必要性がはっきりと見えたとも語っている。
結果だけを見れば、厳しい現実を突きつけられたフランス遠征だったと言えるかもしれない。しかし、選手・スタッフ全員が同じ方向に向けて取り組むことで、得られる経験値を最大化できたことも事実である。各々の選手たちはフランスの地で得た学びと、明確になった課題を持ち帰り、それぞれの所属チームで自らの強みを磨き、全体のレベルアップへとつなげていく。世界の舞台で自分たちの居場所を証明するためのプレッシャーは、これからのための推進力だ。日本バスケの未来を担う彼らの歩みは、ここからまた新しく始まる。
B.LEAGUE U18選抜チーム スタッフ陣
・ヘッドコーチ:秋葉 真司(サンロッカーズ渋谷 U18)
・アシスタントコーチ:鈴木 龍雄(佐賀バルーナーズ U18)
・アシスタントコーチ:吉田 英司(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15)
・トレーナー:高台 周希(アルバルク東京 U18)
B.LEAGUE U18選抜チーム 選手(12名)※学年は発表の3月18日時点
#4プラット 聖也(PF / 191cm / 高1 / 長崎ヴェルカ U18)
#6棚橋 康成(SG / 179cm / 高2 / サンロッカーズ渋谷 U18)
#7宮里 俊佑(PG / 180cm / 高1 / 琉球ゴールデンキングス U18)
#8小松 亮太(PF / 188cm / 高2 / 秋田ノーザンハピネッツ U18)
#9深水 虎太郎(SF / 187cm / 高2 / 千葉ジェッツ U18)
#10古河 シェーン(PF / 188cm / 高1 / サンロッカーズ渋谷 U18)
#13山野井 皓(PG / 180cm / 中3 / サンロッカーズ渋谷 U18)
#14高橋 秀成(PG / 175cm / 高1 / U18 川崎ブレイブサンダース)
#15江原 行佐(SF/PF / 192cm / 高2 / 横浜ビー・コルセアーズ U18)
#16フローニング コリン(PF / 195cm / 高1 / 千葉ジェッツ U18)
#18佐藤 駿(SF / 184cm / 高1 / 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18)
#19藤田 翔(SG / 179cm / 高1 / 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18)
「CHOLET MONDIAL BASKETBALL」大会概要
大会期間
2026年4月3日(金)~6日(月)
開催地
フランス ショレ
カテゴリー
U19(※BリーグはU18選抜チームとして出場)
試合結果
[4/3予選グループ] ●53-78 vs. CHOLET BASKET(フランス)
[4/3予選グループ] ●31-65 vs. URSPRING ACADEMY(ドイツ)
[4/4 9-12位決定戦①] ●49-60 vs. Drive Academy Elite basketball(フィンランド)
[4/5 9-12位決定戦②] ○55-51 vs. ELX BASKET ACADEMY(スペイン)
[4/6 9-12位決定戦③] ●32-61 vs. CZ ACADEMY(チェコ)
大会結果
1位:POLARIS PREP ACADEMY(カナダ)
2位:KK PODGORICA BEMAX(モンテネグロ)
3位:LE MANS SARTHE BASKET(フランス)
4位:ROANNE BASKETBALL CHOIR(フランス)
5位:URSPRING ACADEMY(ドイツ)
6位:CHOLET BASKET(フランス)
7位:ORANGE LIONS ACADEMY(オランダ)
8位:ADA BLOIS BASKET 41(フランス)
9位:CZ ACADEMY(チェコ)
10位:ELX BASKET ACADEMY(スペイン)
11位:DRIVE ACADEMY ELITE BASKETBALL(フィンランド)
12位:B.LEAGUE U18選抜チーム(日本)
大会サイト
https://jfcholetmondialbasketball.com/
