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『スタッツで見るBリーグ』ベンチから勝利を引き寄せろ!B1「層の厚さ」を徹底分析!

2026.04.16

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りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズンも27節46試合を消化し、各チームの戦力構造が鮮明になってきた。

「あのチームは層が厚いよね」…バスケファンなら一度は口にしたことがあるフレーズだろう。でも、ちょっと待ってほしい。「層が厚い」って、具体的に何がどう厚いのか? セカンドユニットがたくさん点を取ればいいのか、それとも別の何かがあるのか?

今回は、スターターとセカンドユニットの境界線を引き、個人スタッツから「層の厚さ」を数値化。チーム分析からシックスマン候補まで、セカンドユニットの世界を徹底的に掘り下げていこう。
※執筆時点(46試合終了時点)でのスタッツを使用
※セカンドユニットの定義:15試合以上出場し、その半数未満が選手交代で起用される選手とする
※本記事の「ベンチPPG」は、上記の定義でセカンドユニットに分類された選手の個人シーズン平均得点を合算したものであり、公式スタッツの「試合ごとのベンチスコア(各試合でベンチスタートだった選手の合計得点)」とは算出方法が異なる。シーズン全体ではセカンドユニット枠でも特定の試合ではスターター出場しているケースがあるため、公式のベンチスコアとは若干の誤差が生じる点をご了承いただきたい。

使用するスタッツ

 

今回、セカンドユニットの評価軸として使用するのは「得点期待値」だ。

得点期待値とは、ざっくり言えば「ボールを持ったとき、1回の攻撃で何点取れるか」を数値化したもの。シュートだけでなくフリースローやターンオーバーも計算に含まれるので、出場時間が短いセカンドユニットの実力を公平に測るのにうってつけのスタッツである。

【計算式】
得点期待値 = 選手の総得点 ÷ 選手の総攻撃回数
※総攻撃回数 = シュート本数 + ターンオーバー数 +(0.44 × フリースロー本数)

「量」ではなく「質」---ベンチ貢献度と勝率の意外な関係

 

さっそく結論から。セカンドユニットの貢献度と勝率の相関を調べてみたところ、面白い結果が出た。

・ベンチ得点割合と勝率の相関:r=0.38(弱い相関)
・ベンチ得点(量)と勝率の相関:r=0.48(中程度の相関)
・ベンチ得点期待値(質)と勝率の相関:r=0.65(強い相関)
※相関係数(r)は-1~1の範囲で、1に近いほど強い正の相関を示す。一般的にr=0.4未満は「弱い」、0.4~0.6は「中程度」、0.6以上は「強い」相関とされる。

セカンドユニットが「チーム得点の何割を占めるか」と勝率の関係は薄く、得点の「量」もそこそこ止まり。ところが、得点期待値つまり「1回の攻撃あたりの効率」になると、勝率との相関がグッと跳ね上がる。

要するに、強いチームのセカンドユニットは「たくさん点を取る」のではなく「効率よく点を取る」。限られた出場時間でいかにスマートにプレイできるかが、勝利のカギを握っているのだ。

チーム別ベンチ得点期待値ランキング

 

セカンドユニット(平均10分以上出場)の得点期待値平均でチームをランキングしてみた。

チーム別:ベンチメンバーのスタッツランキング(TOP 10)

順位 チーム 成績 ベンチ得点期待値 ベンチPPG ベンチ得点割合
1位 三遠 27勝19敗 1.053 32.5 30.9%
2位 佐賀 23勝23敗 1.036 40.7 42.0%
3位 長崎 37勝9敗 1.021 38.3 39.4%
4位 三河 31勝15敗 1.006 24.9 28.7%
5位 北海道 30勝16敗 0.995 31.9 37.9%
6位 千葉J 32勝14敗 0.991 35.7 38.3%
7位 琉球 31勝15敗 0.951 29.2 32.8%
8位 群馬 30勝16敗 0.939 26.8 29.8%
9位 広島 27勝19敗 0.920 38.0 38.0%
10位 宇都宮 34勝12敗 0.895 31.1 32.7%
 

チャンピオンシップ圏内のチームがズラリと並んでいる。長崎(3位)、三河(4位)、北海道(5位)、千葉(6位)、琉球(7位)、群馬(8位)と、上位チームの顔ぶれがそのまま反映されている形だ。

注目したいのは1位の三遠。勝率.587とCS圏内争いの渦中にいるチームだが、セカンドユニットの得点期待値は堂々のリーグトップ。津屋一球や佐々木隆成といった若手日本人選手が高効率でプレイしていることがこの数字に表れている。

そしてもうひとつ面白いのが、三河(4位)と佐賀(2位)の対比だ。三河はベンチ得点割合28.7%と控えめながら得点期待値は1.006と、まさに「少数精鋭」。対する佐賀はベンチ得点割合42.0%の大量投入型でありながら、得点期待値も1.036をキープ。「量」と「質」の両立を実現している稀有なチームである。

二つの頂上---長崎と名古屋のベンチ戦略

長崎ヴェルカ(37勝9敗、勝率.804)と名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(35勝11敗、勝率.761)。リーグの頂上に立つ2チームだが、セカンドユニットの使い方は実に対照的だ。

ベンチ vs スターター:得点効率・割合比較

チーム ベンチ得点期待値 ベンチPPG スターターPPG ベンチ得点割合
長崎 1.021 38.3 58.9 39.4%
名古屋D 0.839 29.8 57.9 34.0%
 

長崎はベンチ得点期待値1.021でリーグ3位。スタンリー・ジョンソンの獲得でセカンドユニットの破壊力が一気に跳ね上がり、スターターからセカンドユニットに切り替わっても攻撃の手が緩まない、そんな理想的な構造を手に入れた。

一方の名古屋はベンチ得点期待値0.839で18位。数字だけ見ると物足りなく映るが、名古屋の真骨頂はリーグ最高峰のディフェンス。セカンドユニットにも「点を取ること」より「守備を崩さないこと」を求めるスタイルであり、得点期待値には映らない強さがそこにある。同じ上位チームでも、勝ち方のレシピは全く違う。この対比が、バスケの奥深さでもある。

しんたろう的シックスマン・オブ・ザ・イヤー候補 TOP5

 

セカンドユニットの中から、得点期待値上位5名をピックアップ。コートに立てばスターターにも引けを取らない、頼れる男たちを紹介しよう。

1位:アレックス・カーク(琉球ゴールデンキングス)#53 C ─ 得点期待値:1.203
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
46 (22) 21.2 10.3 62.8% 65.1% 1.3 6.1 1.203

セカンドユニット界の得点効率キング。eFG% 62.8%、TS% 65.1%という数字は「出たらほぼ外さない」レベルだ。さらに6.1リバウンドでしっかりインサイドの仕事もこなす。琉球のセカンドユニットが安定している最大の理由は、間違いなくこの男の存在である。

2位:金丸 晃輔(佐賀バルーナーズ)#14 SF ─ 得点期待値
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
30 (12) 22.5 10.5 61.4% 64.1% 0.9 1.6 1.195
 

言わずと知れたBリーグ屈指のシューター。eFG% 61.4%はベテランの経験と研ぎ澄まされたシュートセレクションの賜物だ。ボールを持てば1.195点を生み出す計算。日本人選手で唯一の得点期待値1.1超えはさすがの一言。佐賀のベンチ得点期待値がリーグ2位に位置する最大の理由がここにある。

3位:レイナルド・ガルシア(佐賀バルーナーズ)#2 PG ─ 得点期待値:1.151
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
21 (5) 23.8 14.3 58.7% 64.5% 3.7 5.5 1.151

佐賀から2人目のランクイン! 14.3得点に加えて3.7アシストとゲームメイクもこなすオールラウンダーだ。TS% 64.5%はシックスマン候補の中でもトップクラス。金丸+ガルシアという二枚看板があるからこそ、佐賀のセカンドユニットは「量」と「質」を両立できている。

3位タイ:クリストファー・スミス(広島ドラゴンフライズ)#8 SG/SF ─ 得点期待値:1.151
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
46 (11) 26.2 18.9 58.2% 64.1% 3.0 4.7 1.151
 

シックスマン候補中ダントツの18.9得点。これだけ点を取ると普通は効率が落ちるものだが、スミスはTS% 64.1%をしっかりキープ。「量」も「質」も妥協しない、贅沢なシックスマンだ。46試合フル出場の安定感も見逃せない。広島のセカンドユニットの攻撃力は、スミスの肩にかかっている。
 

5位:トーマス・ケネディ(シーホース三河)#1 SF/PF ─ 得点期待値:1.124
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
46 (1) 16.2 8.0 57.2% 60.2% 0.4 2.5 1.124

46試合でスターター出場はわずか1回。生粋のセカンドユニットだ。出場時間16.2分と短いが、eFG% 57.2%で効率よくスコアリングを遂行。少ないタッチで最大限の結果を出す、職人肌のシックスマンである。三河のベンチ得点期待値がリーグ4位に位置する原動力だ。
 

注目の日本人セカンドユニット3選!

シックスマンTOP5にランクインした金丸晃輔以外にも、見逃せない日本人セカンドユニットがいる。
 

津屋 一球(三遠ネオフェニックス)#28 SG ─ 得点期待値:1.091
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
46 (14) 21.8 6.9 59.8% 59.2% 1.0 1.6 1.091
 

eFG% 59.8%は日本人セカンドユニットで金丸に次ぐ2位。46試合フル出場という安定感も光る。三遠のベンチ得点期待値がリーグ1位に君臨する背景には、津屋のような「任された時間で確実に仕事をする」選手の存在がある。
 

金近 廉(千葉ジェッツ)#12 SF ─ 得点期待値:1.067
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
35 (6) 17.5 6.3 56.7% 56.9% 1.1 1.9 1.067

24歳にしてeFG% 56.7%、得点期待値1.067をマーク。千葉のセカンドユニットの中でも存在感を増しており、チーム内での信頼度は着実に上がっている。まだまだ伸びしろのある年齢だけに、後半戦の更なるブレイクに期待したい。
 

山口 颯斗(長崎ヴェルカ)#17 SG/SF ─ 得点期待値:1.038
プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
44 (8) 22.1 6.0 56.6% 58.3% 1.0 2.3 1.038

首位・長崎のセカンドユニットとして黙々と効率を積み上げる男。eFG% 56.6%、TS% 58.3%と派手さはないが、ミスが少なく堅実。まさに「上位チームのセカンドユニットに求められる選手像」を体現している。
 

「量」で注目!スタンリージョンソン

ここまで「得点期待値」を軸に分析してきたが、この男に触れずには終われない。長崎のスタンリー・ジョンソンだ。

プレイヤースタッツ詳細

G (GS) MPG PPG eFG% TS% APG RPG 得点期待値
45 (10) 28.2 23.1 52.9% 57.8% 3.8 6.2 1.003
 

得点期待値は1.003。シックスマンTOP5には入っていない。しかし、ベンチから23.1得点・3.8アシスト・6.2リバウンドという数字は、もはやスターター級の「量」だ。

得点期待値が相対的に抑えめなのは、高いUSG%(ボール保持率)の裏返しだろう。チームのオフェンスを引き受けているからこそ、(タフショットが増えるため)効率の数字はやや下がる。しかし長崎にとってジョンソンの「量」は不可欠だ。スターター陣からの交代で攻撃力が落ちない。この強みが、長崎のベンチ得点期待値リーグ3位という数字に結実している。
 

まとめ

「層が厚い」の正体は見えてきただろうか。

今回の分析で明らかになったのは、その本質が得点量ではなく、効率の質にあるということだ。ベンチ得点期待値と勝率の相関は「強い相関」(r=0.65)であり、本連載で過去に取り上げたディフェンスレーティングと勝率の相関に次ぐ水準。チャンピオンシップを見据えるチームにとって、効率的にプレイできるセカンドユニットの確保は、エース級の補強に匹敵する重要性を持っている。

三河のように少数精鋭で質を極めるチームもあれば、佐賀のように量と質を両立するチームもある。勝利への道筋は一つではないが、「ベンチの質」が勝敗を左右する重要なファクターであることは、数字がはっきりと証明している。

シーズン後半戦に向け、各チームのベンチ戦略がどう変わっていくのか。引き続き注目していきたい。

文:しんたろう

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