長崎ヴェルカの6連勝を支える新戦力、スタンリー・ジョンソン「試合に来た皆さんの記憶に残るプレーを見せていきたい」

「試合中にアップダウンがあるので、より安定したプレーを見せたいです」
10月19日、長崎ヴェルカはアウェーでサンロッカーズ渋谷を相手に持ち味の爆発力あるオフェンスで得点を量産し、92-69で快勝した。
長崎は立ち上がりから攻守の素早い切り替えによるアップテンポな展開に持ち込み、第1クォーターで29得点と先制パンチに成功する。第2クォーターに入るとSR渋谷の力強いペイントアタックやオフェンスリバウンドに苦戦し、点差を詰められてしまう。だが、守備で踏ん張り悪い流れを切ると、イ ヒョンジュンがゴール下へのカットインを効果的に決めるなど終盤で猛攻を仕掛け、リードを2桁に広げてハーフタイムを迎える。
第3クォーターの立ち上がり、長崎は前から激しいプレッシャーを仕掛けることでSR渋谷のミスを誘発。そこからイージーシュートでの得点に繋げるなど、主導権をしっかりとキープする。最後までプレー強度で上回り、セーフティーリードを保ったまま逃げ切った。
これで長崎は開幕戦を落とした後、破竹の6連勝となっている。今オフ、長崎は積極的な補強を断行し、主力の半数が入れ替わった。新しく加わったメンバーがそれぞれの持ち味をしっかりと発揮しつつ、チームとしてオフェンスを上手く展開するのは本来、時間がかかるもの。しかし、長崎は韓国代表のエースであるヒョンジュン、元NBAドラフト8位指名のスタンリー・ジョンソン、熊谷航にアキル・ミッチェルなど新戦力が開幕からしっかりとフィットしている。
長崎のモーディ・マオールヘッドコーチは、早くも見事な連携が生まれている理由をこう語る。「彼らは素晴らしいバスケットボール選手としてだけでなく、良い人柄の持ち主です。みんな何よりも勝つことにこだわっていて、そのために全員の力が必要であることをわかっている。チーム全体にこの共通認識が浸透しているからこそ、早い段階からケミストリーが作られていると思います」。
新戦力の中でも一際大きなインパクトを与えているのがジョンソンだ。ここまで出場した6試合全てベンチスタートながら平均25.57分の出場で、リーグトップの23.3得点、5.5リバウンド、2.3アシストを記録。10月15日のシーホース三河戦では24.35分の出場で37得点など、波に乗った時の爆発力はリーグ随一であり、今回の試合でも後半だけで20得点を挙げ、結果としてゲームハイの25得点を稼いでいる。
ジョンソンは、この試合について「この週末、アウェーで連勝することにフォーカスしており、素晴らしい勝利でした。僕たちはリーグでも屈指のチームと思います。コーチたちが素晴らしい準備をしてくれ、特に終盤に良いプレーができたと思います」と振り返る。
そして、自身のここまでのパフォーマンスをこう見ている。「個人的にはもっと良いプレーができると思います。試合中にアップダウンがあるので、より安定したプレーを見せたいです。ただ、ディフェンスは良くできていると思います。自分の役割を遂行し、チームとして優れたプレーをするための一員でありたいです」

「僕は長崎のコミュニティーにとても敬意を払っている」
ここまでのスタッツが何よりも雄弁に物語っているが、ジョンソンは個の力で試合を支配できる力を持っている。だが、彼が意識するのは常にチームファーストで、「システムの中で正しいプレーができれば、自分の仕事は簡単になります」と、周囲との連携によってこそ自分の力をより発揮できると考えている。
だからこそ、彼は長崎のスタイルを気に入っている。「僕たちはタレント豊富なチームで、みんないろいろなことができます。JB(ジャレル・ブラントリー)、馬場(雄大)、航など、みんなで責任を分け合うことができる良いチームです。僕たちのシステムは、特定の選手に多くを依存するものではないです。チームでバスケットボールをやっているので、みんながアタックを仕掛けていきます」
ベンチスタートの起用法についても「まずベンチから試合を見ることで相手の対応を理解できるので、より優れた戦略を持って試合に入ることができます」と好意的に捉えている。
また、開幕から結果を残せているのは、周囲の手厚いサポートと歓迎のおかげと強調する。「長崎ヴェルカの対応に感謝しています。みんな本当に僕を温かく迎えてくれました。ゼネラルマネージャー、コーチ、(宮本)望(ディレクター・オブ・バスケットボール・オペレーション)など、みんなから多くの敬意、愛を受けているので、僕はそれを返していきたいです」
「ファンの皆さんの熱い声援にとても感謝しています。だからこそ、試合に来た皆さんの記憶に残るプレーを見せていきたいです。また、1人の人間として僕は長崎のコミュニティーにとても敬意を払っていることを知ってもらいたいです」
すでにBリーグに大きなインパクトを与えているジョンソンだが、もっとプレーの質を上げることができると自信を持っている。「まだ、プレシーズンから数えて7週間程度です。今はケガ明けでコンディションはこれから上がっていきます。Bリーグのいろいろな情報を、自分の中にダウンロードしているところです。これからどんどん僕は良くなっていき、安定感が増していくと思います」
ここまでの個人そして、チームの好成績にも「チャンピオンを目指してハードワークを続けていくだけで、勝つためには近道がないことはわかっています。先のことを考えすぎず、僕たちのベストをしっかりと発揮していくことができれば、大きなことを成し遂げられます」と冷静だ。
ここ一番でエースとして得点を取りにいくだけでなく、ロールプレーヤーとしても泥臭い仕事もしっかりこなす。状況に応じてさまざまな役割をこなせるジョンソンが、これからさらに調子を上げていくことができれば長崎の実力は、より盤石のものとなる。