復帰戦で手痛い連敗を喫したアルバルク東京の中村浩陸「まとめるのが自分の役割だが、強く言い切れなかったので悔やまれる」

「ケガでプレーできずに悔しくもどかしかった」
苦しい復帰戦となった。「CS(チャンピオンシップ)に向けて大事な2試合でしたけど……」。アルバルク東京の中村浩陸は、群馬クレインサンダーズに連敗を喫し、悔しさをにじませた。
3月14日に行われた第1戦は、今シーズンワースト2位となる92失点で敗戦。第2戦はシーズンワーストの54得点に抑えられての連敗となった。攻守ともに噛み合わないまま、2試合を終えてしまった。
A東京は、シーズンを通じてロスターが揃わないでいる。エースガードのテーブス海が前節から復帰したが、大黒柱のライアン・ロシターが中断期間明けからインジュアリーリストに登録されるなど、さかのぼればキリがないほどの故障者を抱えて戦ってきた。
その中で、中村は今節が復帰戦だった。開幕戦こそ出場したが、その後の10月の試合は全休。11月に復帰したものの、年末に右肩のケガを負い、今節を迎えるまで18試合の出場に留まった。特別な思いを持って2カ月半ぶりのコートに立ったと言う。
「天皇杯の優勝やEASL(『東アジアスーパーリーグ』)の決勝トーナメント進出など、 チームは勝って良い雰囲気でしたが、僕は少しモヤモヤしていました。ケガでプレーできず本当に悔しかったですし、もどかしい気持ちでいっぱいでした。もっとチームに貢献したいと思っていたので、ここからチームを助けたい気持ちが強かったです」
しかし、今節は厳しい展開となってしまった。中村は次のように敗因を語る。「一人ひとりが自分のやりたいことをやってしまい、 ウチの強みであるチームバスケットができませんでした」
さらに自分がポイントガードとして、もっとやれることがあったと続ける。「そこをまとめるのが自分の役割ですが、強く言い切れなかったので悔やまれます。もう少し早くに対応していれば、このような展開にならなかったのかなと」

「2番手で出るのはすごい責任を感じること」
中村は今シーズンからA東京に加入したが、年末のケガを負うまで20分以上の出場時間を得て、持ち味を充分に発揮していた。ここ数シーズン、なかなか定着しなかったA東京の2番手のガードとして、しっかりと地位を築いている。
「いろいろな方がサポートしてくれました。特にスキルコーチの(友利)健哉さんが毎日ビデオを観せてくれて、細かいアドバイスもたくさんしてくれたおかげで、理解が早くなりました」と早々にチームにフィットできた要因を明かす。さらにチームメートとも良い関係を築けている。「同じポジションの海や福さん(福澤晃平)からも話が聞けるので、良かったかなと」
今節、復帰戦となったが、その起用法に変わりはなかった。「コンディションは100%ではないです」と中村は言う通り、出場時間の制限はあったが、アグレッシブなアタックと激しいディフェンスでチームを支え、ケガ前のパフォーマンスと遜色ないものだった。
「まだ怖さや不安もありますが、やりながら解消していこうと思っています。復帰までもう少しかかるところでしたが、だいぶ早く戻れたのでメディカルスタッフさんたちには本当に感謝しています」
強豪クラブで重要な役割を担うことで、メンタル面でも成長がうかがえる。久しぶりのコートだったが、これまで通りの平常心で臨めたと続ける。
「呼ばれたらやるべきことを自分の頭の中で整理していました。ベンチにいる時から、今はチームに何が足りないかを見ていたので、(呼ばれても)ビックリしなかったですし、落ち着いてフロアに入れました」と振り返り、自身の役割を認識している。「2番手で出るのは、すごい責任を感じることですが、楽しいですし、しっかり自分の仕事をまっとうしなければと思っています」

「誰が出ても徹底してアルバルクのバスケをするのが強み」
A東京はシーズンを通じてケガ人がいても、逆境を跳ねのけて勝利を重ねてきた。シーズンの成績は30勝14敗で東地区3位と、ロスターが揃わない中でも好位置にいる。終盤に来て、再びロシター離脱という状況に直面したが、これも乗り越えてくれるはずだ。
「ライアンは中心となって戦ってきてくれた選手なので、チームとしては本当に痛いです」と中村は前置きした上で「これまでロスター全員が揃ったことがないですし、ケガ人がいてもここまでやってきています。誰が出ても徹底してアルバルクのバスケをするのが僕らの強みですので、今いるメンバーでそれをやっていくだけです」と前を向く。
さらにA東京の強さの秘訣を中村は続ける。「誰か1人に頼らないのが一番の要因です。海やセバス(セバスチャン・サイズ)などチームの中心となる選手はいますが、そこだけに頼っていないのが良いところですし、いろんな選手がプレーメークしたり、リバウンドを頑張ったり、短い時間でもそれぞれができることをやるのが強みです。その頑張りが今の順位やチームの雰囲気に繋がっています」
リーグ戦は一時中断となり、A東京はEASLのファイナルラウンドに臨む。中村は、ここまで欠場が多かったからこそ、より一層の意気込みを持っている。
「一発勝負のトーナメントなので負けたら終わりです。力を出し切らないとですし、今節のような試合は絶対できないので、しっかり気を引き締めて必ず2個目のタイトルを獲りに行きます。自分が出場して獲れるように頑張ります!」
2カ月半ぶりのコートは、中村にとって悔しさが残るものとなった。それでも万全ではないチームにとって、中村の復帰が大きな追い風となることは間違いない。この連敗を乗り越えて、A東京はさらにチーム力を増していくはずだ。