新スタイルで首位に立つも“完成形”はこれから…A東京・リッチマンHC「伸びしろはたくさんある」

◆■リッチマンHC「伸びしろは十分にある」…後半に見せた本来の姿
10月31日、TOYOTA ARENA TOKYOで行われた「りそなグループ B.LEAGUE 2026-27 B.LEAGUE PREMIER」第7節第1戦において、アルバルク東京が宇都宮ブレックスを100-90で下した。A東京は開幕から約1カ月が経過した10月31日時点で10勝3敗(勝率.769)を記録し、東地区で単独首位を走っている。
A東京は、決して順風満帆なチーム状況で首位に立っているわけではない。司令塔のテーブス海や新戦力のインサイドの要であるラクラン・オルブリッチが故障離脱を余儀なくされ、緊急補強で加入したデジョン・ジャロウを組み込みながら戦っている最中だ。それでもチームは好調を維持し、直近6試合では10月17日の群馬クレインサンダーズ戦(100-86)、26日の佐賀バルーナーズ戦(112-88)、そしてこの日の宇都宮戦(100-90)と100点ゲームを達成。故障者が出ていることを感じさせない爆発的な得点力を見せつけている。
この躍進の背景にあるのが、ライアン・リッチマン新ヘッドコーチの就任に伴うプレースタイルの変化だろう。強固なディフェンスをベースとしたハーフコートオフェンス主体のスタイルから、トランジションのスピードとボールシェアを重視するスタイルへとシフトした。
スタッツ面にもその変化は顕著に表れている。昨シーズンのA東京は平均81.5得点、Pace(1試合あたりのポゼッション数)が71.8とリーグでも比較的落ち着いた試合展開を志向していた。しかし今シーズンは、平均94.5得点(リーグ2位)、Paceは78.9(リーグ4位)へと大幅に上昇。オフェンシブレーティング(100ポゼッションあたりの得点期待値)も119.8とリーグ屈指の高効率を叩き出しており、新指揮官が目指すアップテンポな攻撃スタイルが数字の上でも明確に示している。
リッチマンHCが目指すバスケはまだ先にあるようだ [写真]=B.LEAGUE
宇都宮との激闘を制した試合後の記者会見において、リッチマンHCはチームの戦いぶりを次のように振り返った。
「後半は、私たちのアイデンティティにより近いプレーができたと思います。第3クォーターの失点を18点に抑えられたことは非常に良かった。ただ、チームとしては学び続け、成長し続けなければなりません。まだまだ伸びしろはたくさんあります」
この日の試合ではベンチから出場した飯田遼が第1クォーターに10得点(3ポイント3本成功)、ザック・バランスキーが第3・第4クォーターで効果的な3ポイントを沈めるなど、ベンチメンバーの献身が光った。リッチマンHCは「彼らはチームで最もハードに練習に取り組む2人。プロセスが素晴らしいからこそ結果がついてくる」と称賛しつつも、リバウンドやフィジカリティの強度を40分間通して維持することなど、チームとしての課題とさらなる成長の余地を冷静に指摘した。
◆■「黒子に徹する」ロシターと「発展途上」を強調する安藤の共通認識
チームを支えるロシターと安藤 [写真]=B.LEAGUE
宇都宮戦で12アシスト9リバウンドとダブルダブルまであと一歩と迫っていたライアン・ロシターも、チームの現状と自身の役割について手応えと課題を語った。
「第1クォーターは素晴らしいスタートを切れたが、第2クォーターはディフェンスの強度が落ち、オフェンスのスペーシングも悪くなってしまいました。ハーフタイムにボールを左右に動かすことを話し合い、後半はそれを修正できた」と振り返る。自らの得点数を抑えてパスに徹していることについては「キヨンテ(ジョンソン)やDJ(ホグ)という素晴らしいスコアラーがいる。自分はチームの接着剤(グルーガイ)として、リバウンドや正しいパス、ディフェンスに集中している。勝つためならスタッツを犠牲にすることに何の問題もないよ」と言い切った。
さらに、チームの成熟度についてロシターは指揮官の言葉に同調する。「リッチマンHCが『まだまだ目指す場所に近づいていない』と言うのには完全に同意。カッティングやリムランで見逃している場面がまだたくさんある。あと2、3カ月後、あるいはシーズン終盤にはもっと良いチームになれるはずです」と語り、チームが完成形はまだ先にあることを強調した。
また、3人キャプテンの1人である安藤周人も「正直まだまだな段階だと思います」と冷静にチーム状況を分析しているようだ。「(シーホース)三河戦(82-91)、茨城(ロボッツ)戦(66-69)のように負けたときは自分たちのやりたいことが全くできず、悪いところばかりが出てました。ボールを左右に展開し、全員で得点をシェアするバスケットを突き詰めていかなければならない。1段飛ばしで急激に成長することはできないので、日々の小さな積み重ねが大切」と気を引き締めた。
A東京のスタイルの変化は一目瞭然であり、リッチマンHCが目指すスタイルで勝利を積み重ねている開幕1カ月だった。ただ、東地区首位に立ちながらも、指揮官と中心選手たちが口を揃えて「伸びしろ」と「修正点」を見据えるその姿勢こそが、シンA東京が持つ最大の強みと言えるだろう。
文=入江美紀雄(バスケットボールキング編集部)
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