Bリーグ選抜チーム「B.LEAGUE UNITED」がポートランド・トレイルブレイザーズと対戦

アメリカ遠征4戦目。B.LEAGUE UNITEDの集大成となる最終戦の相手はポートランド・トレイルブレイザーズ。選手たちは疲労もありながら充実した表情で最終日を迎えた。しかしこの日、これまでスターティング5を努めてきた#5中村拓人選手(群馬)、#25ヴィンセント・エドワーズ選手はコンディション不良のため欠場。B.LEAGUE UNITEDは中心選手を欠き、ロスター9人の苦しい戦いとなった。
この日の試合は8分×4クォーター(Q)の形式。1Qは#6加藤嵩都選手(名古屋D)、#12今村佳太選手(名古屋D)、#20トロイ・マーフィージュニア選手(SR渋谷)、#33アリンゼ・チドム選手、#35ドノバン・スミス選手の5人でスタートした。ポートランドは注目のドラフト16位216センチの中国人ルーキー、#16ヤン・ハンセンをスタートに起用する本気モードでB,LEAGUE UNITEDを迎え撃った。

立ち上がり、ポートランドの素早いパス回しに翻弄される中、ファウルでフリースローを与え先制を許すも、その直後#6加藤選手が運んだボールを#20マーフィージュニア選手に繋ぎ、タフショットを沈めて2−1と逆転。さらに#35Dスミス選手がゴール下でファウルを誘いフリースローをきっちりと決めて4-1とリードするが、これでポートランドにスイッチが入った。
ポートランドは#21ライアン・ルパート選手の3Pシュートで追いつくと、圧倒的な高さの#16ハンセン選手にオフェンスリバウンドを奪われ流れは徐々にポートランドへ。B.LEGUE UNITEDは#20マーフィージュニア選手のフリースローで1点を加えるも、失点を重ね試合開始5分を過ぎたところで5-10とされる。この日のポートランドは3Pシュートが止まらない。#61ジャスティン・マッコイ選手、#54ディージェー・カートン選手の連続3Pシュートで5-16、そこからさらに追加点を許し5-20と突き放される展開となる。残り15秒を切り#14淺野ケニー選手(群馬)のレイアップがこぼれたのを#24トビンマーカス海舟選手(福井)がフォローし2点を返すも、7-20で1Qを終えた。
今回戦った4クラブの中でも、最高レベルのフィジカル強度や高速のパス回しを持つポートランド相手になかなかアジャストできないB.LEAGUE UNITEDにとって、課題の残る1Qとなった。ディフェンス面では、相手にオフェンスリバウンドを取られ、精度の高い3Pシュートを打たれてしまうといった部分への対応が求められた。オフェンス面では、試合に出られないエドワーズ選手が「もっとペイント狙おう。昨日やれていたことをやればできるから」と選手に声をかけ、2Qに向かった。
2Q開始43秒、またしても相手のオフェンスリバウンドを起点とした失点で先制点を与えると、ターンオーバーからの3Pシュートで0-6。ここでようやくB.LEAGUE UNITEDが練習を重ねた素早いパス回しからフリーとなった#10細川選手の3Pシュートが決まると、気迫のこもった#14淺野選手がゴール下でファウルを受けながらアンドワンをもぎ取り6-6の同点とする。このプレーで勢いに乗った#14淺野選手がスティールで相手のリズムを崩すも、ポートランドは#54カートン選手が冷静に3Pシュートを決める。
B.LEAGUE UNITEDは#6加藤選手が個人技で持ち込んで取り返し8-9と詰め寄るが、再びポートランドの3Pシュートが決まり8-12と差を戻される。さらにポートランドのフリースローが1本決まり、じわじわと離されそうになったところで、攻守に活躍が光る#14淺野選手がまたもタフショットを決めて10-13とくらいつく。しかしポートランドは連続得点を許すことはなく、インサイド、アウトサイドから多彩な攻撃を繰り広げ10-19となる。
ここで#6加藤が得意のドライブから切り込んで決めると、残り2:32で#33チドム選手が上げたボールに逆サイドから飛び込んだ#20マーフィージュニア選手の強烈なアリウープが炸裂。久々の連続得点で14-19とするが、ポートランドも連続3Pシュートで反撃し、14-25。残り40秒で#12今村選手がオフェンスリバウンドを拾い16-25とするも、またしても3Pシュートを返され16-28。最後は#6加藤選手からのパスをなんとか繋いだ#33チドム選手がこれを決めきって18-28。10点差で2Qは終了した。
ハーフタイム、キャプテンの#12今村選手は「前半ではまだ何も成長を見せられていない。やれること全部やろう。残された8分×2で全部出そう!」と仲間たちにゲキを飛ばす。
3Q、立ち上がりゴール下からの攻防でボールを奪い取り、#12今村選手の3Pシュートで先制。前半の明確な課題となったリバウンドに対しても、強い意志を持って奪いに行く。開始2分、リズムを掴めず得点のないポートランドがタイムアウトを要求。B.LEAGUE UNITEDベンチでは#24トビンマーカス選手が改めて「全員でリバウンドいこう!」と声をかけた。
タイムアウト開け、ポートランドが3Pシュートで3-3とするも、#20マーフィージュニア選手がミドルシュートを決めて5-3。しかしまたもポートランドは3Pシュートで応戦し5-6、さらにゴール下から決められて5-8と突き放しにかかる。B.LEAGUE UNITEDベンチからは「リバン!」と声を上がった。半分の4分が経過したところでターンオーバーを奪うと、キャプテン#12今村選手が司令塔となりチームを落ち着かせ、最後は#30ジョニビウス・スミス選手がしっかり決めて7-8と食らいつく。だが#24トビンマーカス選手の体を張ったディフェンスはファウルとなり、ポートランドのフリースローが決まる。さらにミスからのターンオーバーで失点し、7-12となったラスト2:30でタイムアウトを要求。
熱くなる選手たちに水野HCは「ミスを人のせいに絶対するな、チームで戦え」と鼓舞。この言葉を受けた#14淺野選手は鬼気迫るディフェンスで相手ボールをアウトオブバウンズに追い込み、マイボールを奪い取る。#12今村選手がラスト1分で「ぬるぬるっといけた」と振り返るドライブからのフローターで9-12と3点差に迫る。しかし最後はターンオーバーを許し、残り3秒で痛恨のフリースローを献上。9-14で3Qを終えた。
4Q、いよいよB.LEAGUE UNITEDとして最後の8分間が始まる。スターターは#6加藤選手、#12今村選手、#14淺野選手、#33チドム選手、#35Dスミス選手。ベンチの中村選手も立ち上がって仲間を送り出す。序盤、ポートランドに攻め込まれるも課題のディフェンスリバウンドを堅持し粘る。しかしポートランドは素早い展開からディフェンスをかき回し、空いた選手が連続で3Pシュートを確実に沈めてくる。さらにターンオーバーから失点し、0-8となったところで水野HCはタイムアウトを要求し、戦術を確認。#24トビンマーカス選手も大きな声で「最後最後!」とチームを鼓舞した。
タイムアウト開け、#35Dスミス選手が冷静に1本決めると、#14淺野選手がディフェンスリバウンドを拾い、繋いだ#20マーフィージュニア選手の3Pシュートが入り、5-8と詰め寄る。しかしポートランドはここからダンクなどで連続得点。#33チドム選手がターンオーバーを奪ってダンクで応酬するも、すぐさま3Pシュートで返され7-15 。
残り3分、#20マーフィージュニア選手がミドルショットを沈めるも、ポートランド#53シーン・ペドゥラ選手の素早いドライブについていけず、9-17で残り2分を切った。#24トビンマーカス選手のタフショットが落ちたところを#35Dスミス選手がセカンドチャンスをフォローして得点するが、最後までポートランドの3Pシュートポイント精度は落ちず、11-20でラスト1分を切る。ここで#12今村選手からのパスを受けた#35Dスミス選手がインサイドで踏ん張りアンドワンを決めるも、最後の最後に再び3Pシュートを追加され14-23で終了した。
ポートランドは4Q通算46本中17本の3Pシュートを決めた一方、B.LEAGUE UNITEDはフィジカルの強いディフェンスに阻まれ17本中#10細川選手、#12今村選手、#20マーフィージュニア選手の3本のみに留まった。また、リバウンドに関しては、ポートランドがオフェンスリバウンド20、ディフェンスリバウンド28という数字を残したが、対するB.LEAGUE UNITEDはオフェンスリバウンド5、ディフェンスリバウンド21と劣勢に追い込まれた。また、21回のターンオーバーから36点を献上しており、課題が残る最終戦となった。
しかしながら、選手たちは悔しさの中にもこの厳しい「修行」を楽しんだ充実の表情を浮かべた。サマーリーグという、NBA への生き残りをかけた高いインテンシティの中で揉まれ、確実に成長した姿を見せた。また、今回参加した選手はもちろん、コーチ陣やスタッフも含め、いつものB.LEGUEとは全く異なる環境での新たな気づきや学びを多く得られる機会となった。B.LEAGUE UNITEDの活動は、これで一旦終了となるが、それぞれが自分のクラブに戻って今回得たものを還元していくことで、B.LEAGUE全体のレベルアップにも確実に繋がっていく、繋げていかなければいけないと、一人ひとりが強く感じる経験となった。「りそなグループB.LEAGUE 2025-26 SEASON」では、ぜひB.LEAGUE UNITED出身の選手・スタッフの活躍にご注目いただきたい!
