PLAYBACK B.LEAGUE|“史上唯一の連覇”と“1億円プレーヤー”誕生…2つの金字塔が生まれたシーズン【2018-19】

「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 シーズン」、B.LEAGUEは大きな節目となる10シーズン目を迎える。日本のバスケットボール界に新たな歴史を刻んだあの日から、早くも9つのシーズンが過ぎ去った。熱狂のチャンピオンシップ、語り継がれる名勝負、スター選手の誕生、そして地域に根差したクラブが紡いできた数々のドラマ。この連載では、10年目の未来へとつながるBリーグの軌跡を、シーズンごとに紐解いていく。今回は、オンザコートルールの緩和などによってさらに競争が激化した「B.LEAGUE 2018-19シーズン」の激闘を振り返る。
B1レギュラーシーズン: 千葉Jが最高勝率樹立…ベテランの活躍で“新潟旋風”巻き起こる

2018-19シーズンは、前シーズン以上に開幕前から選手やチームが“海を越えた戦い”に挑む姿が目立った。大きな話題となったのは、比江島慎のオーストラリアのナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)挑戦。また、チームとしては琉球ゴールデンキングスがマカオで開催された国際トーナメント「テリフィック12」(現・EASL)で優勝を果たし、アルバルク東京はB.LEAGUEチャンピオンとして参戦した「FIBA Asia Champions Cup 2018」(現・BCL Asia)で準優勝に輝いた。
国内外で着実に存在感を高めていたB.LEAGUEの3シーズン目のテーマは「超」。これまでのシーズンを「超」えるという思いが漢字一字に込められた。その姿勢はコート内外での意欲的な改革にも表れ、オンザコートルールの変更により外国籍選手2人と帰化選手1人が同時にコートに立つことが可能に。また、新たなファン層の獲得を狙ってリーグ戦の平日開催が前シーズンの4倍に増えた。
そして開幕したレギュラーシーズン、東地区では千葉ジェッツが圧倒的な強さで勝利を重ね、当時のB1最高勝率となる52勝8敗(.867)という成績で地区優勝を達成した。そんな千葉Jに肉薄したのが栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)。ライアン・ロシターが52得点というB11試合最多得点を樹立するなど活躍し、シーズン途中には海外挑戦を終えた比江島が加入するなど充実のメンバーでB.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19に駒を進めた。また、2連覇を狙うA東京もワイルドカード上位でチャンピオンシップ進出を果たした。

中地区では五十嵐圭と柏木真介のベテランコンビに加え、リーグ屈指の点取り屋ダバンテ・ガードナーを擁する新潟アルビレックスBBが初優勝。五十嵐と柏木はレギュラーシーズンMIPにも選出されるなど、リーグ全体でも大きな話題となる快進撃を見せた。2位につけたのは、ニック・ファジーカスが帰化選手となったことでチーム力を増した川崎ブレイブサンダース。さらに、ジョシュア・スミスとレオ・ライオンズという強力な外国籍選手を獲得した富山グラウジーズも、ワイルドカードでチャンピオンシップ初出場を決めた。
西地区では琉球が、並里成や橋本竜馬、さらにはNBA優勝経験のあるジェフ・エアーズなど、前年に続き積極的に選手を獲得。さらに底上げされた戦力で地区2連覇を達成した。一方で、地区2位の座を争ったのは名古屋ダイヤモンドドルフィンズと京都ハンナリーズの2クラブ。最終節までもつれ込んだ争いは、名古屋Dが2ゲーム差でわずかに上回り、チャンピオンシップ出場枠に滑り込んだ。
B1各地区でチャンピオンシップ出場を懸けた激しい戦いが繰り広げられる一方、日本バスケットボール界全体が大きな歓喜に沸いた出来事があった。2019年2月、B.LEAGUEのトップ選手たちを主軸に戦った男子日本代表が、敵地でのカタール戦に勝利。実に21年ぶりとなるワールドカップ本戦への自力出場という歴史的快挙を成し遂げたのだ。リーグ発足から3シーズン目、国内リーグの盛り上がりが代表強化へとつながり、それが大きな結果として実を結んだこのニュースは、シーズン終盤戦に突入するB.LEAGUEにさらなる追い風を吹かせた。

チャンピオンシップ: ワイルドカードから下剋上…A東京が史上唯一の連覇達成

3シーズン目のチャンピオンシップは、千葉J、栃木、A東京、川崎、琉球が3大会連続、名古屋Dが2大会連続出場。そこに初出場の新潟と富山が加わった8チームで開催され、A東京が史上初となるワイルドカードからの優勝を果たした。
ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ体制2年目のA東京は、クォーターファイナルで中地区チャンピオンの新潟に2連勝。続くセミファイナル琉球戦は、2試合では決着がつかず。前シーズンまでは1勝1敗の場合、GAME2終了直後に10分間のGAME3を行っていたが、2018-19シーズンからは別日にフルタイムで開催されるルールに変更。A東京はこのGAME3を制して、ファイナル進出を決めた。

B.LEAGUE FINAL 2018-19ではレギュラーシーズンで当時のリーグ最高勝率を記録し、「第94回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」で大会3連覇を果たした千葉Jと対戦。前シーズンと同じカードとなったが、試合内容は一進一退の攻防が続く大熱戦に。前半終了時点で2点リードのA東京は、3Qにさらに怒涛の攻勢を仕掛けて、一気に点差を19点まで拡大。試合は決したかと思われたが、最後の10分間に千葉Jの猛反撃に遭い、試合時間残り27秒時点で2点差まで迫られてしまう。それでも最後はアレックス・カークがフリースローを沈め、最終スコア71-67で勝利。A東京が2025年時点でも史上唯一となっているB.LEAGUE2連覇を成し遂げた。
BリーグチャンピオンシップMVPには6試合で1試合平均12.0得点を挙げ、ファイナルでは12得点12リバウンド6アシスト2スティールという圧巻のパフォーマンスを披露した馬場雄大が選出された。
昇降格: B2 3位の島根が1年でB1復帰…ライセンス判定結果が大きく影響

「B2 PLAYOFFS 2018-19」は、信州ブレイブウォリアーズが優勝、群馬クレインサンダーズが準優勝に輝いた。しかし、ともにB1ライセンスを保有していなかったため、B1への昇格権は島根スサノオマジックと熊本ヴォルターズによる3位決定戦の勝者に与えられることに。試合はグレゴリー・エチェニケやロスコ・アレンに加え、日本人エースの北川弘が躍動した島根が2連勝を収め、2度目のB1昇格を果たした。
一方でB1残留プレーオフは、ライジングゼファー福岡がB1ライセンス不交付により降格が決まったため、B1成績下位2チームの横浜ビー・コルセアーズとレバンガ北海道の間で開催された。結果は2勝1敗で北海道の勝利。横浜BCはB1・B2 入れ替え戦に回ったが、前述の通りB2プレーオフの決勝進出チームが昇格権のない信州と群馬になった影響で横浜BCの残留も確定し、入れ替え戦は開催されなかった。
B2・B3間の昇降格は、金沢武士団がB2ライセンス不交付のためB3に降格し、B3で1位となった東京エクセレンス(現・横浜エクセレンス)が自動昇格。B2・B3入れ替え戦では、東京八王子ビートレインズと越谷アルファーズが対戦し、カイル・リチャードソンが26得点20リバウンドと躍動した越谷がB2昇格を果たした。一方、東京八王子は1シーズンでB3に戻ることとなった。
個人賞: 富樫勇樹が名実ともに“B.LEAGUEの顔”に…新人賞は20歳の岡田侑大が受賞

2018-19シーズンのレギュラーシーズンベストファイブは、千葉Jの富樫、A東京の田中大貴、シーホース三河の金丸晃輔が3年連続受賞を果たし、栃木の遠藤祐亮と新潟のガードナーが初選出。最優秀選手賞(MVP)には富樫が選出された。
富樫はレギュラーシーズン60試合すべてに先発出場し、1試合平均14.0得点5.5アシストを記録した。3連覇を果たした天皇杯でも大会最優秀選手(MVP)を記録し、21年ぶりにFIBAワールドカップへの自力出場を決めた日本代表でも主力として活躍。そうした活躍が高く評価され、オフに千葉Jとの契約更改でBリーグの日本人選手では初となる“1億円プレーヤー”となった。

最優秀新人賞に選ばれたのはシーホース三河の岡田侑大。シーズン途中に拓殖大学を中退してプロデビューを果たした岡田は、若干20歳ながらレギュラーシーズン40試合に出場して1試合平均10.3得点をマーク。杉浦佑成や齋藤拓実を抑えての受賞となった。
B1スタッツリーダーを見ると、得点はガードナー(27.6)、アシストはジュリアン・マブンガ(8.5)、リバウンドはジョシュ・ハレルソン(12.3)、スティールは中山拓哉(2.2)、ブロックはカディーム・コールビー(2.4)、3ポイント成功率は石井講祐(45.2%)、フリースロー成功率は金丸(90.9 %)が受賞。ガードナーと金丸以外は初受賞の選手が並ぶこととなった。
文=バスケットボールキング編集部