PLAYBACK B.LEAGUE|夢のアリーナが続々誕生…B.革新に向けた動きも【2024-25】

「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 シーズン」、B.LEAGUEは大きな節目となる10シーズン目を迎える。日本のバスケットボール界に新たな歴史を刻んだあの日から、早くも9つのシーズンが過ぎ去った。熱狂のチャンピオンシップ、語り継がれる名勝負、スター選手の誕生、そして地域に根差したクラブが紡いできた数々のドラマ。この連載では、10年目の未来へとつながるBリーグの軌跡を、シーズンごとに紐解いていく。今回は節目を前に、過去最多の入場者数を記録した「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25シーズン」の激闘を振り返る。
B1レギュラーシーズン:話題を呼んだ渡邊雄太の日本復帰…国際的な取り組みで底上げを図る

前シーズンに続き、国際大会後に迎えたシーズン。進化を続けていくことを意味する「WE ARE UNSTOPPABLE!」をシーズンテーマとして掲げ、B.LEAGUE9シーズン目が幕を開けた。千葉ジェッツのLaLa arena TOKYO-BAY、神戸ストークスのGLION ARENA KOBE、長崎ヴェルカのハピネスアリーナと、全国各地に夢のアリーナが誕生。シーズン中には2026-27シーズンから始まるB.LEAGUE PREMIERに参入するクラブが発表され、機運の高まりを感じさせた。
1月にはさらなる発展を目指し、NBAと戦略的提携の基本合意を締結。目標に掲げる世界2位のリーグに向け、NBAとコート内外で手を組んだ。シーズン終了後の2025年6月にはオープンハウスアリーナ太田で「B.LEAGUE GLOBAL INVITATIONAL 2025」を初開催。若手選手を中心としたB.LEAGUE UNITEDがNBL(オーストラリア)選抜と対戦し、貴重な経験を積んだ。
リーグ全体で前シーズンを上回る総入場者数を記録。レバンガ北海道はエスコンフィールドHOKKAIDOでホームゲームを開催し、B.LEAGUE史上最多19,462人の観客を迎えるなど大きな話題を呼んだ。
開幕前の関心を得たのは渡邊雄太(千葉ジェッツ)だ。日本人2人目のNBAプレーヤーは自身のSNSでライブ配信を行い、日本への復帰を明かした。去就に注目が集まるなか、公表から約3カ月後に千葉Jへの加入が発表されたのだ。東地区は千葉Jと宇都宮ブレックスに加え、大型補強を敢行した群馬クレインサンダーズが上位争いを繰り広げた。豪華戦力を擁した千葉Jだったが、選手のケガが相次ぎ、前評判どおりには白星を重ねられず。宇都宮が8試合を残して2年連続4回目の東地区優勝を決めた。
NBA経験者のデイビッド・ヌワバ、日本代表の吉井裕鷹など即戦力をロスターに加え、12月14日から3月19日にかけて22連勝を達成した三遠ネオフェニックスが2年連続で中地区優勝。アルバルク東京はリーグ全体4位の44勝16敗と、初めての中地区でも好成績を残した。3位のシーホース三河から6位のサンロッカーズ渋谷まで勝率5割以上。8位の川崎ブレイブサンダースも18勝(勝率3割)を挙げ、拮抗した地区となった。

琉球ゴールデンキングスが2シーズンぶりに西地区王座を奪還。東アジアスーパーリーグをこなす過密日程での戦いを強いられたものの、天皇杯初優勝に続き、快挙を成し遂げた。2位の島根スサノオマジックは2大会ぶり3回目の「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2024-25」出場。京都ハンナリーズは6連勝でシーズンを締めくくり、2018-19シーズン以来の勝率5割超えを達成したが、チャンピオンシップ進出は叶わなかった。

チャンピオンシップ:宇都宮が亡き指揮官に捧げる史上最多3度目の優勝…追い込まれたエースが土壇場で大活躍

レギュラーシーズン最終節の結果、群馬がワイルドカード上位枠を獲得。大会唯一の初出場チームで、その他の7チームはいずれも3回以上の出場経験がある顔ぶれとなった。
宇都宮がそのチャンピオンシップを3シーズンぶりに制覇し、B.LEAGUE史上最多となる3度目の優勝。三河とのクォーターファイナルを2連勝で突破すると、セミファイナルで千葉Jと激突した。宿敵との対戦はGAME1を17点差で制したものの、GAME2は19点差の敗戦。最大20点差から追い上げられたGAME3は82-71で勝利を収めた。
頂上決戦の相手は、4大会連続ファイナル進出の琉球。GAME1は第1Q残り4分5秒に試合をひっくり返すと、その後は一度もリードを奪われることなく、81-68の勝利で優勝に王手をかけた。GAME2は一転して接戦の展開。第4Qに主導権を握られ、結果的に8点差で敗れた。中1日で迎えたGAME3は前半から追いかける時間帯が続き、第4Q開始早々に10点ビハインド。それでも、3得点にとどまっていた比江島慎がこの10分間だけで14得点と躍動し、宇都宮に勝利を呼び込んだ。

宇都宮は2月にケビン・ブラスウェルヘッドコーチが急逝。「チャンピオンシップ最優秀選手賞(MVP)」と「ファイナル賞」のダブル受賞を果たしたD.J.・ニュービルは「ブラスウェルHCが亡くなってからチームで一つの目標を作って、それはブラスウェルHCのために優勝を捧げるということ。それをしっかりと実現できたことがすごくうれしいです」と喜びの言葉を口にした。
昇降格:A千葉が鬼門を突破して“三度目の正直”…富山は1年でのB1復帰

2026-27シーズンを見据え、2024-25シーズン終了後にB2からB1、B3からB2に各2クラブが自動昇格。降格するチームはなしとなった。
「りそなグループ B2 PLAYOFFS 2024-25」はアルティーリ千葉、信州ブレイブウォリアーズ、富山グラウジーズ、ライジングゼファー福岡がセミファイナルに進出。レギュラーシーズンで57勝3敗(勝率.950)と圧倒的な強さを示し、2シーズン連勝でB.LEAGUE最高勝率を更新したA千葉は、1年でのB1復帰を目指す信州と対戦した。セミファイナルの壁を突破し、“三度目の正直”で初のB1昇格。一方、富山はリーグ全体2位の福岡を相手に連勝し、1年でのB1復帰を決めた。
昇格チームによるファイナルは、富山がGAME1をものにすると、A千葉がGAME2でリベンジ。GAME3は試合開始前に会場内で発生した停電のため試合中止が決まり、翌日に再試合不開催が発表された。両クラブの優勝とし、A千葉の黒川虎徹がプレーオフ最優秀選手賞(MVP)に輝いた。
「B3リーグ プレーオフ 2024-25」は横浜エクセレンスが優勝を飾り、横浜移転後では初のB2昇格。準優勝のアースフレンズ東京ZがB2ライセンスを持っていないことから、新潟アルビレックスBBとの3位決定戦を制した岩手ビッグブルズが1年でのB2復帰を果たした。
個人賞:ニュービルが初の2年連続MVP…B1リーダーズは初受賞者多数

リーグを席巻した宇都宮のニュービルが2年連続でレギュラーシーズン最優秀選手賞(MVP)に輝く快挙を達成。1試合平均17.1得点5.5リバウンド6.1アシストはいずれも前シーズンを上回る数字で、大阪エヴェッサ在籍時の2022-23シーズンから3シーズン連続で全60試合出場を果たした。
宇都宮からニュービル、比江島、三遠からデイビッド・ヌワバ、佐々木隆成、琉球からヴィック・ローと、いずれも地区優勝チームの主力選手がレギュラーシーズンベスト5を受賞。富樫勇樹はキャリア初のベストファイブ選出を逃したものの、セカンドチームに入った。

新人賞は小川敦也や米須玲音、三谷桂司朗といった候補選手を押しのけ、脇真大が2位の瀬川琉久を127ポイント上回って受賞。ルーキーイヤーから49試合の先発を含む全60試合に出場し、強豪の一員として活躍した。本人は「『これからもっと頑張れよ』という賞」と捉えており、「日本で止められない選手になりたいです」と誓った。
B1リーダーズは得点王のブロック・モータム、アシスト王の佐々木、リバウンド王のトーマス・ウェルシュ、スティール王のアーロン・ヘンリー、ブロック王のサッシャ・キリヤ・ジョーンズ、ベストFT成功率賞の篠山竜青がいずれも初受賞。比江島がキャリアハイ44.3パーセントで2年連続となるベスト3P成功率賞に輝いた。
文=酒井伸
構成=バスケットボールキング編集部