B.LEAGUE10周年企画! 日本バスケ界を揺るがした衝撃の移籍10選【バスケットボールキング編集部選定】

B.LEAGUE10年の歴史は、衝撃的な「移籍」の歴史でもあった。リーグの勢力図を塗り替え、ファンの記憶に刻まれたスター選手たちの決断。Bリーグ10周年を記念し、バスケットボールキング編集部が独自に選んだ、語り継ぐべき10の移籍を厳選して紹介する。
古川孝敏(2017年|栃木ブレックス⇒琉球ゴールデンキングス)

栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)の優勝で幕を閉じたB.LEAGUE1年目。その頂上決戦で21得点を挙げファイナルMVPにも輝いた古川孝敏の移籍は、B.LEAGUE初のオフシーズンにおいて大きなトピックの一つだった。当時29歳だった古川は栃木のスターターとしてレギュラーシーズン1試合平均11.1得点を挙げていた主力選手。新天地となる琉球ゴールデンキングスでは負傷の影響で出遅れたものの、クラブ史上初の西地区優勝に大きく貢献した。
比江島慎(2018年|シーホース三河⇒栃木ブレックス)

B.LEAGUEにおいてレギュラーシーズンMVP受賞直後に移籍した例は2件。その第1号が比江島慎だった。B.LEAGUE2年目のシーズンを終え、シーホース三河から初代王者の栃木ブレックスへ電撃移籍。すると入団発表から1カ月足らずで契約解除し、“海外挑戦“を実現するためNBLのブリスベン・ブレッツと契約するという異例かつ怒涛の展開を見せた。ちなみに2019年1月に栃木へ再入団した比江島は、古巣の三河戦でホームゲーム初先発。移籍1年目はリーグ戦29試合の出場にとどまったものの、チャンピオンシップで1試合平均14.3得点と勝負強さを発揮した。
辻直人(2021年|川崎ブレイブサンダース⇒広島ドラゴンフライズ)

ルーキーシーズンから川崎ブレイブサンダース一筋9年だった辻直人の移籍は、川崎のみならず日本全国のB.LEAGUEファンに衝撃を与えた。当時の辻は31歳、スターターの一角を務め、まさにクラブの顔を担っていた存在。契約満了が発表された際の「今でも、これが現実なのか信じられないですし、正直なところ今は寂しさしかありません…」という辻のコメントからも、当時の衝撃が伝わってくる。広島ドラゴンフライズへの移籍1年目は自身4シーズンぶりに平均2桁得点を達成し、B1昇格2年目にして初のシーズン勝ち越しに大きく貢献した。
金丸晃輔(2021年|シーホース三河⇒島根スサノオマジック)

レギュラーシーズンMVPを受賞した直後に移籍した史上2人目の選手が、当時32歳だった金丸晃輔だ。B.LEAGUE開幕から5年連続でレギュラーシーズンベストファイブに輝いていた名手は、三河所属8年目だった2020-21シーズンに平均16.8得点をマークしたほか、リーグ2位の3P成功率46.6%を記録。日本代表にも名を連ね、まさにリーグを代表するシューターだった。当時B1昇格3年目を迎えていた島根スサノオマジックにとって、経験豊富なスターの加入は後の躍進につながる大きな補強となった。
ジェフ・ギブス(2021年|宇都宮ブレックス⇒長崎ヴェルカ)

「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2020-21」で、あと一歩頂点に届かなかった宇都宮ブレックスのファンにとっては悲報だっただろうか。この夏は長らくクラブを支えてきた主力選手が複数退団。当時40歳だったジェフ・ギブスがその一人だ。宇都宮でのラストシーズンは、チャンピオンシップも含め自身初のB.LEAGUE全試合出場を果たした。移籍先はB3リーグに新規参入する長崎ヴェルカ。「ベテランとしてチームをけん引し、ヴェルカを優勝に導くことを楽しみにしています」との言葉通り、誕生間もない新クラブでは初期メンバーとしてキャプテンも務め、B3からB1へ最速2シーズンでの昇格に貢献した。
ライアン・ロシター(2021年|宇都宮ブレックス⇒アルバルク東京)

2021年のオフに宇都宮から移籍したもう一人の主力選手、ライアン・ロシターもB.LEAGUEにおける印象的な移籍を振り返る上で欠かせないだろう。2013年に来日してから宇都宮で7シーズンを過ごしたビッグマンは、2019年に日本国籍を取得し日本代表としてもプレー。2020-21シーズンはいずれもチーム最多となる12.9得点4.1アシスト1.3スティールの好成績を挙げ、チームの屋台骨を担っていた。前年にチャンピオンシップ出場を逃していたアルバルク東京にとっては、逆襲へ向けた補強の目玉だった。
田中大貴(2023年|アルバルク東京⇒サンロッカーズ渋谷)

2023年夏の移籍市場では、B.LEAGUEで唯一の連覇を達成したアルバルク東京からアレックス・カークが新たなクラブへと移ったが、それ以上に大学卒業後からアルバルク一筋だった田中大貴の移籍は日本バスケ界に大きな衝撃を残した。日本代表でも活躍してきたSGは当時31歳。A東京でのラストシーズンは怪我に悩まされリーグ戦の出場が14試合にとどまった。完全復活を期すタイミングで選んだ新天地は、ともにA東京で連覇を成し遂げたルカ・パヴィチェヴィッチHC(当時)が指揮するサンロッカーズ渋谷。同じ東京都渋谷区をホームタウンとするクラブで再出発をきった。
ペリン・ビュフォード(2024年|島根スサノオマジック⇒信州ブレイブウォリアーズ)

B.LEAGUE情勢に与える衝撃という点では、ペリン・ビュフォードの移籍もトップクラスだ。2年連続でB1得点王とレギュラーシーズンベストファイブに輝き、積み重ねたトリプルダブル通算24回。チャンピオンシップ出場権争いの常連となった島根スサノオマジックのエースであり、常にB1スタッツリーダーズの複数部門でトップ争いを演じるリーグ屈指のオールラウンダーだった。島根から退団が発表された際はもちろん、その移籍先が当時B2への降格が決まったばかりの信州ブレイブウォリアーズだったことも大きな話題となった。
藤井祐眞(2024年|川崎ブレイブサンダース⇒群馬クレインサンダーズ)

2024年のオフは実力者の移籍が多数あったなか、2021-22シーズンのレギュラーシーズンMVPを受賞した藤井祐眞も新天地へと渡った。B.LEAGUE開幕以前から川崎ブレイブサンダース一筋でキャリアを重ね、ベストファイブを3度、ベスト6thマンとベストディフェンダー賞を2度受賞した名手だ。川崎ラストイヤーだった2023-24シーズンもB1リーグ戦全60試合に出場し、13.3得点4.3アシスト1.2スティールと主軸を担っていたが、所属10年の節目で決別。B2からステップアップしてきた群馬の司令塔となり、移籍1年目からチャンピオンシップ進出に貢献した。
渡邊雄太(2024年|メンフィス・グリズリーズ⇒千葉ジェッツ)

日本国内の移籍ではないが、B.LEAGUE10周年を振り返るうえで史上2人目の日本人NBAプレーヤーのB.LEAGUE初参戦は欠かせない。高校卒業後に“本場”アメリカに挑戦した渡邊雄太は、NBAで6シーズンのキャリアを重ね、2024年4月に自身のSNS上で日本国内のクラブへ移籍することを電撃発表。パリ2024オリンピック日本代表として活動していた最中に千葉ジェッツとの契約が発表された。帰国後には入団会見も実施され、「どのチームよりも僕に対して熱量をくださったと感じました」とコメント。「いつか一緒にプレーしたい」と言葉をかわしていた“盟友”富樫勇樹とチームメートになったことも話題になった。
文=バスケットボールキング編集部
