佐古 竜誠(白鴎大学)/不撓不屈の精神を持つインカレV主将、シンデレラストーリーの続編はプロの舞台で B.LEAGUE DRAFT 2026

日本バスケットボール界が大きな転換期を迎えるなかで開催される「B.LEAGUE DRAFT 2026」 。この舞台に立つ候補選手たちは、いま何を想い、どのような覚悟でプロへの扉を叩こうとしているのでしょうか 。本連載は、実績やデータだけでは見えてこない彼らの”等身大の声”に迫ります。度重なる苦難を乗り越えた不屈の精神や、チームのために徹した献身的な姿勢 。一人のアスリートとして、人間として歩んできたこれまでの軌跡と、新たなステージへの決意 。ドラフトという運命の日を目前に控えた、彼らの「現在地」を届けます。
佐古 竜誠
さこ・りゅうせい/白鷗大学4年/178cm・84kg/PG/2004年2月26日(21歳)/呉港高校卒/広島県出身
※年齢はドラフト当日の2026年1月29日時点

白鷗大学4年の佐古竜誠選手は、年末に行われたインカレで一躍ヒーローになった選手です。バスケットボール部に一般入部した佐古選手ですが、昨年度まで公式戦の出場はほぼなし。ところが今年8月、佐藤涼成選手(広島ドラゴンフライズ)のプロ転向を受けてキャプテンと先発PGの大役を引き継ぎ、インカレ優勝の立て役者となりました。彼が実現したシンデレラストーリーは、たくさんの人々にエナジーを与えるものでした。
広島ドラゴンフライズU15でのプレー経験を持つ佐古選手にとって、プロの世界は小さな頃から身近な存在で、「Bリーグの選手になりたい」という目標を持つのも早かったと振り返ります。「当時はそこまでたどり着ける自信はなかったですが、中学時代、ジュニアオールスター(都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会)の県選抜に入ってから少しずつ変わってきました」
実は、佐古選手のこれまでのキャリアは、「プロになるにはどうしたらいいか?」という逆算からスタートしています。地元・広島の呉港高校では1年時から出場機会を獲得し、国民体育大会(現国民スポーツ大会)の県選抜メンバーに選出され、3年時には念願のウインターカップ出場も果たしました。
しかし、大きなアピールの舞台となるはずだったウインターカップは、無念の初戦敗退。「このままではプロは難しいかもしれない」という焦りに突き動かされるように、佐古選手は思い切った行動に出ます。中国地方や関西地方の強豪大学からの誘いを断り、大学バスケ界の最高峰に位置する関東の大学に行こうと決意したのです。
狙いを定めたのは、多くのプロ選手を輩出し一般入試の生徒にも門戸が開かれている白鷗大学。網野友雄監督にハイライト映像、取材記事の切り抜き、手紙を送り、合格からセレクションまでの期間は恩師の紹介で宇都宮ブレックスのユースチームの練習で腕スキルを磨き、見事入部を果たしたのです。
3年時までなかなか出場機会を得られなかったものの、佐藤選手の背中を追いかけることでたくさんのことを学んだと佐古選手は言います。そして、その努力の過程は決して彼を裏切りませんでした。昨年末のインカレでは、準決勝で東海大学の轟琉維選手(佐賀バルーナーズ特別指定選手)、決勝で早稲田大学の下山瑛司選手(ライジングゼファー福岡特別指定選手)という、大学屈指のスピードスターに連戦でマッチアップ。佐藤選手とのマッチアップで磨いてきたディフェンスで彼らを好きにプレーさせず、優勝に大きく貢献しました。

「白鷗大学に入らなかったらこんなに成長できなかったと思います。良い場所を選べて良かったです」。佐古選手は笑顔でそう言いました。
B.LEAGUEでドラフト制度が始まると知ったときは「やばいな」と思ったと言います。「本当にプロに行けるのか」と悩み、就職活動に励んだ時期もありました。しかしぐっと踏みとどまり、短期間で自身が想像できないほどのステップアップを果たした佐古選手は「少しでも可能性があるなら」との思いでドラフト志望届を提出しました。自慢のディフェンスと3年時から少しずつ磨いていった3ポイントシュートに加え、プロの舞台ではガードとしてより大きな支配力が求められると佐古選手は今後の課題を見据えています。
「誰がどこにいて、その中で誰が一番アドバンテージを取れるかが、まだ見えていないなと感じるときがあります。B.PREMIERのチームは2m級の選手が3人いるような世界になりますが、そこでもしっかりパスを出せるようにならないといけないですし、ピックももっと細かいところに気を配りながら使わなければいけない。そういった面ではまだまだ成長しないといけません」
ルーキーが国内最高峰の舞台で思うように力を発揮するのが難しいことは、もちろん理解しています。しかし、くじけることなく地道に努力を重ねることには慣れています。「もし指名されなくてもB.ONEやB.NEXTのクラブで自分の力を発揮して、いつかはB.PREMIERで涼成や(佐伯)峻介とマッチアップしたい」と話す、不屈のメンタリティの持ち主の未来に注目です。
