正中岳城 B.LEAGUE開幕・新時代の目撃者vol.1「スポーツの枠組みを超えた社会的な取り組みにもチャレンジ」B.LEAGUE10周年記念インタビュー
「一貫したクラブのあり方といった観点で、チームを見なければいけない」
今シーズン、Bリーグは節目の10年目を迎えた。コロナ禍による観客制限からのシーズン中断など様々な困難を乗り越え、リーグ誕生時に比べると平均観客数は約2倍と大きな発展を遂げている。さらなる成長を目指し、『B.革新』の名の下に来シーズンから新たなフォーマットを導入する中、記念すべきBリーグ開幕戦(2016年9月22日)でコートに立ったアルバルク東京、琉球ゴールデンキングスの面々にこの10年の歩みを振り返ってもらった。A東京のキャプテンとしてコートに立ち、今はクラブ職員である正中岳城のメッセージを紹介する。
――2019-20シーズン終了後に正中さんは現役を引退し、昨シーズンからA東京に事業部の職員として復帰しています。元選手が指導者やチームの強化に関わる部署ではなく、ビシネスサイドの部署に関わっているのは珍しいことだと思います。そこに対する正中さんの意識を教えてください。
実業団チームだった頃は、選手などチームに関わった人物が引退した後、マネージメントの部門で引き続きチームに関わっていくのは自然な流れでした。ただ、Bリーグとなってプロ化した後、他の競技を含めてスポーツビシネスの経験や知見を持たれている方がたくさんチームにいらっしゃる状況となったことで、引退しても戻ることはあまりないと感じています。あったとしても社内の他の運動部に関わるくらいだと、ぼんやりと思っていました。ただ、何をするにしても経験を積まないといけない。まずは、目の前の社業で成果を上げていく必要があると感じていました。私が思っていたよりも戻ってくるタイミングは少し早かったという印象です。
――元選手であり、チームのキャプテンを務めていた人物だからこそ、もたらすモノがあると意識していますか。
その意識を持っていないと意味がないと思います。同じ言葉でも、誰が言うかで変わります。一貫したクラブの在り方といった観点で、チームを見なければいけない。目の前の結果のみで何かを評価するのではなく、中長期的な視点だったり、今までのアルバルクが何を大事にしてきたのかを踏まえた見方をしっかりと持たないといけないです。
――日本バスケ界における大きな転換点となったBリーグ開幕ゲームについて、どういう思いで臨んでいましたか。
今、こうして振り返ると、まずは自分たちが関わることができたのは非常にありがたいことでした。プレーの内容、試合に至るまでのプロセスも含めて、自分なりにできる限りの範囲で向き合うことができたと思います。2つのリーグが統一されて新しいプロリーグが立ち上がる中での開幕ゲームということで、メッセージ性があり、地上波で放送される試合であることに責任も感じていました。ワクワクという高揚感だけでなく、役割をしっかりとやりきらないといけない、バスケという競技の面白さを届けるための準備をしっかりしないといけない感覚も大きかったと思います。

――正中さんが開幕ゲームの試合後に行ったスピーチはとても心に響くものでした。
事前にこういう場面があると言われていたので準備はしていました。旧実業団リーグのチームだったこと、自分の立場、クラブの出自を踏まえた中で、この場は全員にとって明るい未来への一歩であると伝えることを意識していたと思います。

「先駆者のマインドで新しいことにチャレンジしていかないといけない」
――実際にBリーグが始まった後、今までの環境の違いをどう感じていましたか。
今までと見られ方が違う中、プロ選手としてファンの皆さん、パートナーさんへの振る舞いを考えて動かないといけない状況となりました。実業団時代と比べ、ファンの皆さんのボリューム感が変わっていくと影響力も変わっていく。それによってコミュニティへの影響度も変わっていく。自分たちが果たせさないといけない役割を少しずつ理解していった感じでした。
その中で優勝した後、いろいろな地域の皆さんにお会いする時、「見ていました」、「応援していました」と声をかけられた時は、今までの違いを強く実感しました。皆さんの幸福度みたいなところに、自分たちが関わることができた。それは地域に受け入れられてリスペクトを勝ち取った結果で、実業団時代の優勝とはまた違った思いがありました。もちろん親会社の社員の皆さんも喜んでくれており、そこに地域の皆さん、パートナーの皆さんも喜んでもらえる。影響力の大きさが一気に広がっていくことは優勝を通して感じました。
――りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズンからA東京は、TOYOTAARENA TOKYOという最先端のアリーナをホームとして戦っています。そこに今、自身がチームスタッフとして携わっている未来をBリーグ開幕時に想像できましたか。
想像できなかったですね。当時は夢のアリーナみたいな話しが、少しずつ出ては来ていましたけど、まずは目の前の試合をしっかりやる。そこからまずは、いかにお客さんを増やしていくかに取り組んでいました。新アリーナをどのような場所にしていくのかは、これからとても大事になってきます。A東京にとって大きなポイントとなるシーズンですが、そこにリーグの開幕シーズンで私とともにキャプテンを務めていた菊知祥平・伊藤大司がいて、伊藤は現在チーム編成の責任者としてGMを務め、菊地は現役選手としてチームでリーダーシップを発揮しています。今、それぞれの立場で引き続きチームの一員であるところも、このクラブの力になっていると思います。自分も今のバスケ界において、特異な経歴だからこそ貢献できる役割があり、選手のキャリアの広がりを示す意味でも役割をしっかりと全うしていきたいです。
――最後にBリーグ10年目の今、これからの10年はどんな視点でチームを発展していきたいと考えていますか。
これからもA東京は先駆者のマインドで新しいことにチャレンジしていかないといけないチームだと思っています。現状維持は衰退みたいなものなので、スポーツの枠組みを超えた社会的な取り組みにもチャレンジしないといけない。活動の幅を広げて発信力を高めることで、これからリーチできなかった場所にもチームの情報を届けていきたいです。あとは国際的な発言力を増していくことも大切です。自分たちで成長できるチャンスを作って可能性を広げていくこれからの10年にしたいです。
