「目標は1人でも多くの選手をトップチームに上げること」

11月22日から26日にかけて、BリーグU18チームの王者を決める『BリーグU18チャンピオンシップ2025』が開催される。

琉球ゴールデンキングスU18は、9月上旬に行われた『FIBA U16アジアカップ2025』に出場した宮里俊佑とブレイク ジェレマイヤ デービッド海斗を有する注目チームの1つ。チームの指揮を取るのは昨シーズンまで長らくプロの舞台で活躍していた浜口炎だ。トヨタ自動車（現アルバルク東京）のアシスタントコーチに始まり、仙台89ERS、京都ハンナリーズ、富山グラウジーズ、ライジングゼファー福岡でヘッドコーチを務めた浜口は、日本人コーチの中でも有数のトップリーグでの実績を誇る。

その彼が今シーズンから琉球U18の指揮官に就任した。トップリーグでも中長期的な視線で若手を育成する部分はあるが、あくまで目の前の勝利が大前提にあっての付属的なもの。しかし、ユースチームでは勝利と同等、時にはそれ以上に育成は重要な要素だ。この違いへのアジャストについて浜口コーチは「すごく難しいです。やっぱり私も子どもたちも勝ちたいです」と語るが、それでも育成の大切さを強調する。

「最初の2年間ベンチに座らせて、3年生になって実力がついてから試合に出すのではなくて、下級生のうちから少ない時間でもプレーさせたほうが絶対に成長に繋がると思っています。今はここのバランスにアジャストしているところです。ただ、私たちの目標は1人でも多くの選手をトップチームに上げること。そこはブレずにやっていきたいと思います」

育成といっても選手個々によって当然のように状況は違う。宮里のようにU15チーム時代から琉球の将来を担う逸材として大きな期待を受けている存在もいるし、選手の実力は千差万別だ。だが、浜口コーチは「彼らと個人面談をすると『目標はプロ選手』と全員がはっきり言葉に出して言っています。もちろん大学に進学する子のほうが多いですけど、今いる17人全員に可能性があると思っています」と語り、選手1人ひとりに寄り添っている。

「楽しく自分たちで判断しながらやれるほうが良い」

浜口コーチは言う。「プロになる可能性の高い子もいれば、少し低い子もいます。でも可能性がゼロでない限り、私たちはしっかりと育てて、次のステージ……プロや大学に送り出すことにトライしたいと思います。そういう意味では可能性の高い子と低い子が混在していてもやりづらさはないです。みんなを押し上げようとしています」

そして、選手の将来のためスキルに加え自主性、判断力を高めることを大切にしていると続けた。「選手たちに『何をやりたい？』と問いかけて、彼らの判断を尊重します。こちらから指示をずっと与えるだけでは賢くならない。楽しく自分たちで判断しながらやれるほうが良いと思います」

また、浜口コーチはトップチームとの桶谷大ヘッドコーチとは旧知の仲。「コミュニケーションはすごく取っていて、トップチームで何をやっているのか教えてもらっています。トップチームのプレーと同じようなことを導入したり、練習もたまに来てもらえるのでアドバイスをもらったりしています」と連携を密にしている。

豊富な指導者経験を持つ浜口コーチだけに、教え子も各地で活躍している。Wリーグの女王富士通レッドウェーブで今年よりヘッドコーチを務める日下光は、現役時代に仙台と京都で10年間に渡って浜口コーチの指導を受けている。日下は自身が最も影響を受けた指導者として浜口の名前を挙げ、こう語っている。

「すごくきついことも言いますが、軸があるコーチングをします。誰にでも平等ですし、バスケット以前にそういう人間性の部分でも浜口さんから大切なことを教わりましたし、その影響は大きいと思います」

日下が今シーズンから富士通を率いることについて聞くと、浜口コーチは「一緒にやった選手、コーチたちが活躍してくれている。それが一番うれしいです。彼らから連絡をもらったりすることは自分の財産です」と目を細める。

ユースチームの指導者という新たな挑戦の1年目の集大成で、浜口コーチの教えを受けた選手たちは自分たちの判断を大切にどんな姿を見せてくれるのか。すでにU15が今年1月に行われた『Jr.ウインターカップ2024-25』で準優勝という実績を残している琉球が、U18でも躍進を遂げることができるのか注目だ。

Bユースの頂点を決める「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」が明日11/22(土)より開催！
 
大会に挑むキングスU18の#29 宮里選手と#12 桶谷選手の意気込みコメントをお届けします。
初戦は11/22(土)16:30試合開始！会場や配信から後押しをお願いします。
 
▽詳細https://t.co/12zp7tftMz pic.twitter.com/IO7edduQRd

— 琉球ゴールデンキングス公式 (@RyukyuKings) November 21, 2025