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2026.10.06

強力布陣“オンフォー”の狙いと効果とは…開幕4連勝の広島、日本人選手にも「個々の役割が当然ある」

  • バスケットボールキング

◆■Bプレミア開幕4連勝…新ルールを見据えた編成が結実

 広島ドラゴンフライズがBプレミアで開幕4連勝を飾った。全4試合のスターターは、ポイントガードの佐藤涼成に加えて、帰化選手のメイヨニックと外国籍選手のコフィ・コーバーン、クリストファー・スミス、ドウェイン・エバンスの5選手。“オンザコートフリー”の新ルールを活用したラインナップで力強いスタートをきった。

 新リーグへの準備が実った好発進となった。Bプレミアでは新たにオンザコートフリーのルールが導入され、外国籍選手の同時出場が最大3人へと拡大。さらに帰化枠やアジア特別枠と組み合わせることで「オンフォー」の布陣を敷くことが可能となった。今シーズンの広島は13名が残留する超継続路線。昨シーズンからBプレミアを見据えた戦力をそろえて新たな戦いに備えてきた。

 就任3年目の朝山正悟ヘッドコーチは、「Bプレミアのレギュレーションがどうなっていくかは昨シーズンやその前から色々と話題にはなっていたので、その辺の方針はありました」と明かし、「昨シーズンのレギュレーションだと、どうしてもサイズが低くなってしまうデメリットが当然あってサイズ感で苦しめられましたが、今シーズンはしっかりとポジションごとに(外国籍選手や帰化選手を)はめられることが自分たちの強みになっていると思います」と、チーム編成への手応えを口にする。

◆■攻撃力だけじゃない“オンフォー”…狙いは守備強度とコミュニケーション

[写真]=B.LEAGUE

 継続路線だからこそ、昨シーズンB1リーグ3位の1試合平均86.0得点を記録したオフェンスは計算ができる。その上で、Bプレミアでの戦いに向けてディフェンスの強化に専念してきた。今シーズンの広島はいかにディフェンスの強度を高い基準で保てるかが鍵となる。フィジカルとサイズがあるオンフォーのスターターも、まずはディフェンスマインドを持って戦うための布陣だ。

 大黒柱のエバンスは、「オンフォーのスターターで一番大事なことはディフェンスの強度があること。どの守り方でも試合の出だしから強度を維持して、良いスタートをきることが大切です」と話し、朝山HCも「決してオフェンスのところでオンフォーをスターターにしている感覚ではなくて、練習の中で見てきても彼らがしっかりとディフェンスで示してくれたことが非常に大きいです」と明言。さらに、コート上の円滑なコミュニケーションという狙いも付け加える。

「彼らのオフェンシブ能力が自分たちの武器になることは当然わかっています。ただ、今シーズンは、ずっとやってきたディフェンスをしっかりやりきるところが重要になってくる。そういう意味ではコミュニケーションがすごく大事なので、オンフォーの方がより話しやすいですし、そこも効果として実際に出ていると思います」(朝山HC)

◆■「この2日間のMVPはザキ」スタッツに表れない貢献

[写真]=B.LEAGUE

 試合のスタートからオンフォーで戦えるのは、後から出てくる選手たちの支えもあってこそだ。指揮官は、「やっぱり日本人の選手たちはディフェンスに対してのマインドや意識、遂行力が非常に高いので、彼らが逆に後から出てきてくれることによって、コート上の落ち着きを出すところは今の狙いの一つです」と日本人選手に対する信頼を明かす。

 キャプテンのスミスも、「まずはスタートの選手たちがハードなディフェンスの基準を設けて、それを維持するためにより守備のいい選手たちをベンチから投入する。これはHCが練り上げた重要な戦略だし、このハードなディフェンスを貫くことで戦い抜けると思っています」と自信を口にした。

 それを体現するように、10月2日と4日に行われたホーム開幕節の神戸ストークス戦は、山崎稜の活躍が光った。三谷桂司朗がコンディション不良で欠場した中、チーム日本人最年長のシューターは2試合とも第1クオーターに途中出場。約3分半のオンフォーの時間のあと、コートに入ってディフェンスを引き締めた。要所で相手の流れを止める気の利いたファールや、ルーズボールへの執着といった意識は相変わらず誰よりも高い。

[写真]=B.LEAGUE

 山崎は神戸との1戦目で26分23秒のプレータイムをつかみ、2アシスト1スティールと持ち味の3ポイントシュートも1本決めきった。2戦目はスミスにファウルトラブルがあった中で、得点こそなかったが、コーバーン、エバンスに続く27分37秒のプレータイムで4連勝に貢献した。朝山HCも試合後の会見で「この2日間のMVPはザキだと思います」と言いきった。

「彼のこの2日間の働きは、今シーズン自分たちがやろうとしていることを一番体現してくれました。そこはなかなかスタッツに表れない部分ですが、しっかり体を張って、今何がこのチームに必要かを自己犠牲の精神を持ってやってくれました。仲間のミスであっても真っ先にカバーしてくれる。そういう選手がいることは、やっぱり強いチームになっていくために絶対必要なので、そこはこの2日間しっかりとやってくれましたし、その部分がそのままプレータイムに現れていると思います」

◆■“オンフォー”でも欠かせない日本人選手「個々の役割が当然ある」

 オンザコートフリーの導入によって日本人選手の出場機会やプレータイム減少が懸念されているが、神戸戦で山崎が示したように、大事なのはいかに勝ち取っていくか。朝山HCも日本人選手に対して、「日本のリーグなのでプライドと誇りを持って競争してほしい」と力を込める。

「もちろん、どうしてもサイズ感や能力のところは差が出てくるもので、全チームそうだと思います。それでも、役割があったり、しっかりと(実力を)出せる人間がいたりするはずで、そういう選手がいるからこそ勝ち続けていけるものだと思います。実際、始まってみると、確かに外国籍選手たちのプレータイムは当然増える部分はありますが、じゃあかといって日本人選手たちが0かと言ったら当然そうはならない。なので、その中で個々の役割が当然あると思っています」

[写真]=B.LEAGUE

 開幕4連勝を飾った広島において強力なオンフォーの存在感は大きいが、当然ながら日本人選手の役割も欠かせない。指揮官は4日の神戸戦後にロバーツケイン、松野遥弥、晴山ケビンの名前も挙げつつ、「この4試合でポイントガードのところ以外の日本人選手たちはバックから出てく形になっていますけど、その中で単純にシュートが入る入らない、調子がいい悪いだけじゃなくて、今自分たちが何をしなきゃいけないのかをこれだけしっかりと体現してくれる選手たちがいることは今の結果につながっていると思います」と奮闘ぶりを称えた。

 Bプレミアがついに開幕し、新ルールの動向にも注目が集まっている。だが、長いシーズンは始まったばかり。戦いが進むにつれて選手のコンディションや怪我の発生などによってチーム状況も変わってくるため、朝山HCも「まだまだここからいろんなものを詰めていく必要がある」と気を引き締める。Bプレミア1年目でまだ不確定要素の多いシーズンをいかに戦い抜くか。ここからがまさに指揮官の手腕の見せ所だ。

文=湊昂大

【動画】広島vs神戸の2戦目ロングハイライト映像