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2026.11.05

故郷の石川でコーチ職に戻ってきた金沢サムライズの北卓也HC「やっぱり現場は性に合っていると思います」

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北卓也

「選手たちが一生懸命頑張ってくれていることがすごくうれしい」

今シーズンから2部リーグに相当するBワンに参加している金沢サムライズは、今年の2月に北國銀行などを中心とする、石川県を代表する企業グループ『CCIグループ』が経営参画することで資本力の大幅強化に成功した。そして今シーズン、生まれ変わったチームの顔として新指揮官に招聘されたのが石川県出身のレジェンド北卓也だ。

現役時代、東芝ブレイブサンダースで名シューターとして活躍した北は引退後にヘッドコーチ、GMとして東芝、さらに川崎ブレイブサンダースを支え多くの栄光をもたらしてきた。昨シーズン終了後の6月30日に、1995年から30年以上に渡って在籍した川崎を離れた北が、新たな挑戦の場として選んだのが地元チームだった。

昨シーズンまでB3に所属していた金沢は、開幕直後にビッグマンの1人ローカス・ガスティスが離脱とインサイドの駒不足を抱えている中、ここまで6勝6敗の勝率5割と奮闘している。4日に行われた東京八王子ビートレインズ戦は、出だしから各選手が平面での激しいプレッシャーをかけ続けることで前半をわずか22失点に抑えると、そのまま最後まで集中力を切らさず76-58でホームゲームを制した。

北は「58失点に抑えられたようにディフェンスが良かったです。ただ、僕たちは土日と試合がなく少し休めて、これまでの課題を修正することができました。逆に八王子さんは土日と試合があってスケジュール的に大変な部分がありました。それでも、とにかく勝てて良かったです」と試合を振り返る。

北がこれまで在籍していた川崎は、クラブハウスを筆頭に充実の施設を持っている。そして、北が指揮官を務めていた時代はリーグ屈指のタレント集団だった。一方、金沢に専用の施設はなく、選手のタレント力も大きな違いがある。もちろん北は、この違いを十分に理解した上で金沢に加入した。そして決して恵まれているとはいえない環境でも懸命に取り組んでいる選手たちを称える。

「ずっと川崎にいて金沢に来ると、カテゴリーだけでなくいろいろな違いを感じることはあります。ただ、今はその違いも新鮮で楽しんでいます。どんな環境でもしっかり準備をしないといけない中、選手たちが一生懸命頑張ってくれていることがすごくうれしいです。彼らにこれまで自分が経験してきたことを伝えています。選手たちはチームのスタンダードを上げ、石川県を盛り上げることを今のところはできているかなと」

「僕がこれからも引き続き前面に出るのは違うと思います」

そして2019年以来となるコーチ職について、「やっぱり現場は性に合っていると思います。何人かにも『現場の方が合っているね』と言われました」と言う。また、トレンドの変化に順応しつつも、譲れないこだわりをこのように続ける。

「僕が前回ヘッドコーチをやっていた時からバスケットは変わっていますし、テンポが上がり、ポゼッションが増えているところはあります。ただ、それでもディフェンスがしっかりしないと勝てないです。みんな上手いですけど、ファンダメンタルがちょっと不足している印象はあります。古いバスケットと言ったらそれまでですけど、ファンダメンタルが一番大事だと思っています。基礎がしっかりしていることでプレーの引き出しが増えることを、伝えていきたいです」

Bリーグ開幕当初、川崎は観客が2000人以下に終わるなど集客に苦しんでいた時期もあった。この日のホームゲームの観客は1617人と、当時の川崎と似たような状況だ。北は一朝一夕で観客数は増えないが、地道な活動がファンの増加をもたらすことを身をもって体験しているからこそ「昔の川崎が今と違って人気がなかった時を僕は知っています。時間はかかりますけど、ファンの皆さんと思いを一緒にして石川県をバスケットボールで盛り上げていければと思います」と意気込む。

そして、ファンを魅了し、増やしていくために、次のようなプレーを選手たちに望んでいる。「ファストブレイクからダンクシュートを決め、子どもたちが『すげぇ!』と思うようなプレーをやってほしいですし、そういったスキルを持ってほしいです。玄人の方には活躍する選手の裏で、黒子のように黙々と自分の役割をこなしている選手たちを見てほしいですし、それぞれ自分の仕事をするチームワークが大切です」

今の金沢において、北は選手たちより注目を浴び、広告塔も務めている。「石川県出身で、これまでやってきたことから(周囲の扱いに)分かる部分もあります」と現状について語るが、同時にチームのさらなる人気拡大には選手たちが主役にならないといけないと強調する。

「サムライズがもっと盛り上がっていく上で、僕がこれからも引き続き前面に出るのは違うと思います。やっぱり選手たちが前面に出てこないといけないように、広報活動も含めてバックアップしていく。そして自分への注目度がなくなっていくような形になるのが一番良いと思います」

北が語るように金沢の発展には、北のような知名度を得る選手たちが1人でも多く増えることが必要だ。ただ、今は北がコート内外でチームを牽引していく段階にあり、レジェンドは地元のために身を粉にしてこのミッションに取り組んでいる。