塚本 智裕(大東文化大学)/高校の大先輩を指針にプロを志す即戦力PG B.LEAGUE DRAFT 2026

日本バスケットボール界が大きな転換期を迎えるなかで開催される「B.LEAGUE DRAFT 2026」 。この舞台に立つ候補選手たちは、いま何を想い、どのような覚悟でプロへの扉を叩こうとしているのでしょうか 。本連載は、実績やデータだけでは見えてこない彼らの”等身大の声”に迫ります。度重なる苦難を乗り越えた不屈の精神や、チームのために徹した献身的な姿勢 。一人のアスリートとして、人間として歩んできたこれまでの軌跡と、新たなステージへの決意 。ドラフトという運命の日を目前に控えた、彼らの「現在地」を届けます。
塚本 智裕
つかもと・ともひろ/大東文化大4年/179cm・81kg/PG/2003年4月20日(22歳)/北陸学院高卒/千葉県出身
※年齢はドラフト当日の2026年1月29日時点

「B.LEAGUE DRAFT 2026」にエントリーした候補選手の中には、すでに特別指定選手としてプロの舞台を経験している選手が何人かいます。
大東文化大学4年の塚本智裕選手もその一人です。「りそなグループB.LEAGUE 2024-25 SEASON」に琉球ゴールデンキングスで約4か月活動し、2試合に出場。2024年12月18日の滋賀レイクス戦では、2本のフリースローを成功させてプロ初得点も記録しています。
塚本選手のプレーを一言で表現するとしたら、“安定感”でしょうか。
PGとして非常に落ち着いたゲーム運びで味方にパスを配給したかと思えば、北陸学院高校時代からの武器であるミドルレンジジャンパーやドライブで自ら得点も可能。トランジションゲームとハーフコートゲームの両方に対応できる高いIQも彼の魅力です。また、琉球での活動中にも評価されたディフェンスも一つの武器だと自信を見せます。「周りの方々からディフェンスのプレッシャーは評価していただけて、琉球で活動しているときも練習中に前からプレッシャーを与えることができたし、試合に出たときもその良さを何回か出せたと思います」と塚本選手。
一方で、武器であるゲームメイクは「毎日、毎日、ずっと勉強していく必要がある」とも語ります。「誰が今ノッているのか、どこにミスマッチができているのかといったところはめちゃくちゃ考えなければいけないです」。そしてそれは、塚本選手が憧れる“ある選手”からの助言とも重なります。
その選手とは、北陸学院高校の先輩にあたる大倉颯太選手(アルバルク東京)です。
塚本選手が北陸学院高校に進学するきっかけでもあり、プロバスケットボール選手を志す上での指針ともなっているのが大倉選手。そもそも、塚本選手は中学時代までは全国大会とは無縁のキャリアを歩んでおり、大倉選手率いる当時の北陸学院高校も「そのときはただのファンとして見ていた」と言います。
しかし、「北陸学院の濱屋(篤史)先生が試合を見に来てくれて、なんと声を掛けもらえたんです。本当に奇跡でした」と、願ってもない形でオファーが舞い込み、地元の千葉を離れて憧れの高校に進学したのでした。高校時代の実績の中で特筆すべきは、3年時に新潟県で開催されたインターハイです。同じく「B.LEAGUE DRAFT 2026」にエントリーしている清水愛葉選手(専修大学4年)らと共にチームをベスト8に導き、大倉選手が高校2年時に第3位となったウインターカップ2016以降のチーム最高成績を残したのです。
塚本選手は大倉選手から直接助言を受けたこともあるそうで、その内容が前述したゲームコントロールの部分。「颯太さんは『What's important now?』ということをおっしゃっていて、今何が必要なのか、それを瞬時に判断して常に発信し続けるのがガードだと話していました。高校までは点を取ればいいというだけの考えでしたが、大学に入ってからはゲームをコントロールすることをより意識していて、その(大倉選手からの)言葉が今にも生きていると思います」と塚本選手。
今何を考えるべきか──それは特別指定選手として活動した琉球での日々、特に試合に出られるか分からないときの行動にも現れました。塚本選手は「ベンチでいつでも出られるようにずっと待っているのは初めての経験で、自分が出たらどんな役割をこなさなければならないのかを常に考えている状況でした。自分が出そうだなと思ったときには桶谷大ヘッドコーチや佐々宜央アソシエイトヘッドコーチに『今交代したら自分は何をすべきですか?』と、自分から聞きに行ったこともありました」と当時を回想します。
北陸学院高校ではエースとして主に得点面でチームを率い、大東文化大学では1年時からプレータイムを獲得。プロの経験も踏まえながら、よりPGとしての完成度を追求しました。記録的な成果としては、大学1年時の新人インカレでチームの優勝に貢献し、特に決勝では25得点の大活躍。4年時の今年は絶対的な存在としてチームを率いました。
安定してチームに貢献できる塚本選手は、即戦力のガードを求めるクラブにとっては貴重な選択肢の一人となることでしょう。
