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B.MAGAZINE

コートを離れて“和”を体験! 外国籍選手たちが長崎で触れた日本の心

2026.03.05

オールスターゲーム

本物の剣道を体験! 竹刀を手に学んだ「心・技・体」


「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2026 IN NAGASAKI」に沸いた長崎の地で、外国籍選手たちがコートを離れ、日本の伝統文化の奥深さに触れる特別なツアーが開催された。スポーツ庁とB.LEAGUEが連携して推進する「武道ツーリズム」の一環として行われたこの企画。参加したのは、ドワイト・ラモス選手(レバンガ北海道)、ザック・オーガスト選手(滋賀レイクス)、ジャック・クーリー選手(琉球ゴールデンキングス)、そしてセバスチャン・サイズ選手(アルバルク東京)だ。バスケットボールとは異なる世界で、彼らは何を感じ、何を得たのだろうか。

ラモス選手、オーガスト選手、クーリー選手の3人が向かったのは、長崎市の中川八幡神社境内にある公民館を拠点とする剣道道場「雄心舘」。道場で彼らを温かく出迎えたのは、未来の剣士を目指す子どもたち。慣れない剣道着や防具の着付けを子どもたちに手伝ってもらうと、選手たちから感謝の言葉がこぼれ、一気に和やかな雰囲気に包まれた。



稽古は、剣道教士七段の馬場武史先生の指導のもと、正座と礼という作法から開始。「よろしくお願いします」という厳かな声が道場に響く。



まずは竹刀の持ち方、構えを学ぶと、すぐにコツを掴んで様になり、子どもたちから「上手い!」「すごい!」と歓声が上がる。トップアスリートならではの身体能力と勘の良さがうかがえた。「メン!」「コテ!」「ドウ!」。馬場先生の指導で声を張り上げながら素振りを行い、次第に実践的な稽古へと移行。連続技や、足さばきも加えるなど難易度が上がっていくと、選手たちの声も熱を帯びて大きくなっていく。ハイライトとなったのは、面を着けて行われた子どもたちとの対戦だ。



ラモス選手は「思っていたよりハードだったし、難しかったですね。子どもと対戦して、スパッと面を打ち抜かれたのは驚きました(笑)」と苦笑を浮かべた。するとクーリー選手も「小さな子どもにいとも簡単に頭頂を叩かれたのが、自分の中でお気に入りの瞬間です! 相手の子はひと汗もかかずにあっさりポーンとやられて、びっくりしました。最高でした」と笑顔で振り返った。
オーガスト選手は、今回のツアーに息子と参加。「一緒に剣道をやれたのは特別な体験でしたね。実際に本物を経験させてあげることができて感動的でした」と父親の顔を見せた。そして「いつもいる快適な場所から一歩踏み出して、新しいことに挑戦するのは良い刺激になります。美しい場所で美しい文化に触れられて嬉しいです」と語った。



指導した馬場先生は「皆さんは素晴らしい素質をお持ちで、剣道でも強くなるはずです」と評価し、「剣道には精神的な側面があります。その精神性をバスケットボールに生かしてほしいと伝えました」とエールを送った。厳しい稽古の中に、日本文化の精神性を見出した貴重な時間となったようだ。
 

和の装いと長崎の味。伝統のおもてなしに触れる


剣道で心地よい汗を流した一行は、続いて日本の伝統的な装いを体験。
凛々しい袴姿に着替え、坂本龍馬が愛したと言われる料亭「花月」で長崎が誇る伝統の「卓袱(しっぽく)料理」を楽しんだ。卓袱料理は、江戸時代に長崎に住んでいた中国人が客をもてなした料理がルーツとされ、和(日本)、華(中華)、蘭(オランダ)の文化が融合した国際色豊かなおもてなし料理である。朱塗りの円卓を囲み、大皿に盛られた料理を身分の分け隔てなく直箸(じかばし)で取り分けるのが作法。女将の「御鰭(おひれ)をどうぞ」という言葉から始まる宴は、まさに文化体験そのものだ。



長崎だからこそできた体験に対して、選手たちの満足度は言葉から十分に伝わってきた。クーリー選手は「期待を大きく上回る体験でした。剣道にとって心・技・体がどれだけ大切なのかを体感できたことが良かったですし、本格的な食事を楽しめた。まさに文化的な一日を過ごせた本当に良い機会でした」と感謝を口にした。オーガスト選手も「剣道も食事も素晴らしい体験でした。文化に浸ることができて幸せな時間でした」と語り、ラモス選手も「様々な体験をすることができて、本当に文化的な一日でした。日本文化についてもっと学ぶことができました」と、充実した表情を見せた。



また3選手とは違った動きで日本を体験していたのが、アルバルク東京のセバスチャン・サイズ選手。市内にある平山茶道会館で自らお茶を点てる体験をした。抹茶を茶碗に入れ、柄杓で湯を注ぎ、茶せんで点て、自らその味を確かめる。その満面の笑みが、体験の充実ぶりを物語っていた。その後、サイズ選手は「りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR FES 2026」が開催されていた出島メッセへ移動。「雄心舘」の剣道体験ブースにも立ち寄り、剣道着と防具を装着して竹刀を持って構えるなど剣道体験を楽しんだ。静の「茶道」と動の「剣道」、両方の魅力に触れた一日となった。



この出島メッセ長崎では、武道ツーリズムのコンテンツも展開されていた。ステージでは「雄心舘」のメンバーによる迫力ある剣道の演武が披露され、観客を魅了。この演武を観覧したフィリピンのインフルエンサーのキム・ルスさんは「初めて本物の剣道を見ましたが、素晴らしいと感じました。私の国にはこういったものはありません。とてもクールな経験でした」と興奮気味に語った。ステージで日頃の成果を披露した「雄心舘」の馬場美怜さんは「初心を忘れずにと思ってやりました。自分の出来は満点です」と、凛とした表情で語ってくれた。サイズ選手やキムさんだけでなく、会場に訪れていた多くの外国人にとっても、武道の素晴らしさに触れる貴重な時間となったに違いない。
 

「最高の思い出」と語った一日。異文化交流で見つけたもの


ツアーの最後、長崎での特別な体験を満喫した3選手に、改めて日本の魅力について尋ねた。まずオーガスト選手は「日本は交通網が本当に便利。家族でも安心して色々な場所に行けるのが良いですね」と語ると、クーリー選手は「今回の経験がそうでしたが、せっかくなら東京以外にも訪れてほしいです。日本は移動が簡単。だからこそ、あらゆる場所に行って様々な体験をしてほしいですね」と語ると、ラモス選手は「私のいる北海道には最高の食べ物があるので、オススメですよ(笑)」と地元をアピールした。



また“日本に来る観光客が覚えておくと便利な日本語は?”という質問には、クーリー選手が「『ダイジョウブ』が、かなり便利」と答えれば、オーガスト選手は「アリガトウ、ゴメンナサイ」が最も良く使うと教えてくれた。ラモス選手は「僕は『ミギ・ヒダリ』。タクシーで必要なんだ(笑)」と実用的なアドバイスを披露し、笑いを誘った。

今回の武道ツーリズムは、選手たちにとって、日本の文化や人々の温かさに深く触れる忘れられない思い出となった。ラモス選手は「日本に5年いますが、剣道は初めての体験でした。最高の経験の一つになりました」と語り、オーガスト選手は「息子と一緒に剣道体験ができたことが本当に嬉しかった。伝統的な庭園や食事なども含めて、日本の美しい文化に浸れて幸せでした」と感謝の気持ちを表した。クーリー選手は「これからも大切にしたい思い出になったし、ぜひまた体験してみたいです」と締めくくった。



コートの上での激しいプレーとは違う、リラックスした表情や文化への真摯な眼差し。こうした経験が、彼らのプレーに新たな深みを与え、日本と世界のファンとの絆をさらに強くしてくれるに違いない。
 
 

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