長崎が初の戴冠、琉球は誇り胸に終幕。激闘のファイナル、それぞれの集大成[りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26 GAME3試合後会見]
歴史的偉業を成し遂げた長崎と、死力を尽くし戦い抜いた琉球。両者が語る激闘の真実

「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON」は、ついに究極の結末を迎えた。5月26日、横浜アリーナを舞台に行われた「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」GAME3は、対戦成績1勝1敗のタイから長崎ヴェルカが72-64で琉球ゴールデンキングスを撃破。創設6年目にして初のB1チャンピオンの座に輝いた。本記事では、運命の最終決戦直後に行われた、両クラブの試合後記者会見の模様を全文でお届けする。
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長崎ヴェルカ
マオールHC「一人一人のピースがかみ合い、ついに総合的なピースが完成した。」

――優勝おめでとうございます。マオールHCと馬場選手にお伺いします。長崎ヴェルカのメンバーとして優勝を掴み取った率直なお気持ちと、GAME1の敗戦からどのように立て直してこの優勝に繋げることができたのか、その要因について教えていただけますでしょうか。
馬場「シーズン途中から優勝だけを目指して戦ってきたので、狩俣(昌也)さんの引退の件もありましたし、最高の気分です。1試合目は自分たちのやりたいバスケができない状況で、自滅してしまった印象がありました。GAME2、GAME3はちゃんと自分たちに返るというか、自分たちがやってきたことを徹底しようとしました。コーチ陣が素晴らしいスカウティングもしてくれたので、そこが最後にいい形で自分たちの力を発揮することができたんだと思います。だからこそ、優勝につながったのかなと思っています。」
マオールHC「本当にこのチームを誇りに思っていますし、感謝しています。優勝が決まった瞬間に、あんなにたくさんの方が泣いているのを見たことがなくて…。それだけ、自分たちがすべてを懸けて戦い合ってきた証拠だと思っています。チームにいる全員が、ひとつもステップをスキップすることなく、一歩一歩着実にプロセスを踏んで取り組んできました。この物語は5年前に始まっていて、チームのビジョンは極めて明確でしたし、全員がそこに対してコミットしてきたというのは、本当に素晴らしいことだと思っています。もちろん組織としてもチームとしても、自分たちがやるべきことを積み上げてきたのは間違いありません。全員が一人一人の役割を深く理解していて、その一片ずつのピースが見事に出来上がっていって、最終的に総合的なピースが完成しました。ですから、全員がこの結果を心から誇りに思っていいはずです。自分たちは1年間を通してベストチームだったと思いますし、チャンピオンシップでも『3強』と呼ばれる素晴らしいチームをしっかりと倒してここまで来ました。一旦こういう形で目標を達成しましたけど、このヴェルカの文化はこれからも次世代へと受け継がれていくと確信しています。」
――「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26 最優秀選手賞(MVP)」を受賞されたイ選手にお伺いします。受賞された今の率直なお気持ちを聞かせていただけますでしょうか。

イ「受賞できて嬉しいですが、正直なところチームの全員がMVPだと思っています。馬場(雄大)選手であったり、サニー(アキル・ミッチェル)選手であったり、ジャレル(・ブラントリー)選手がMVPを獲っても全然おかしくないと自分は思っていました。何よりもチームとして勝てたことが一番嬉しいですし、このチームの一員であることを自分は素晴らしく、誇りに思っています。」
――マオールHCと馬場選手にそれぞれ同じ質問をさせていただきます。長崎ヴェルカは2020年のクラブ設立時に『5年で日本一』という非常に大きな目標を掲げ、見事に成し遂げられました。これほど若いクラブが偉業を達成することは決して容易ではないと思いますが、国内外の様々なクラブを経験してこられたお二人から見て、ヴェルカがこれを達成できた要因や、このクラブの持つ最大の特徴はどこにあると感じていますか。

馬場「先ほどモーディ(マオールHC)が言ったことが全てかなと思います。この組織、会社を含め、伊藤拓摩さん(社長兼GM)ですね。拓摩さんを中心に、全員がコミットしたと思いますし、自分たちの仕事にプライドを持って1日1日を過ごしていたと思います。やっぱりトップの方が熱い姿勢を示してくれると、本当に素晴らしい周りが集まります。『類は友を呼ぶ』ではないですが、彼を中心に素晴らしい組織を作り上げ、拓摩さんの姿勢を見て過ごしてきた、そして集まった最高の仲間たちのおかげで、こういった結果ができたと思うので。誰しもができたわけではないと思います。ここにいるメンバーが一人でも欠けていたら優勝できなかったと思うので、一人一人がプロとしてのプライドを持って最後まで戦い抜いた結果かなというふうに思います。」
マオールHC「例えば、ヴェルカのクラブハウスに入ってきたとしたら、それが練習日であれ、オフ日であれ、オフィスやコート、リカバリーの場所などを色々見学してもらうとすぐに分かると思うんですけども。そこでは本当にたくさんのスタッフが常に働いていて、自分たちの仕事に強いプライドを持って、完璧にそれぞれの役割をこなしています。それは決してこのファイナルやプレーオフの時期だけではなくて、まだ冷え込む2月のシーズン中のような時期であっても全く変わりません。365日、毎日妥協なく自分たちの仕事を積み重ねているプロフェッショナルな日常こそが、こういう結果につながったのだと確信しています。」
――馬場選手とマオールHCに伺います。独自の『ポジションレスバスケ』を掲げ、今シーズン旋風を巻き起こし掴み取った優勝ですが、自分たちのスタイルを最後まで完璧に貫き通して頂点に立ったことについて、今どのように感じていますか。
馬場「自分たちのやってきたシステムを全員が心から信じていましたし、モーディ(マオールHC)が絶対的な自信を持って、膨大な時間をかけて僕たちに指導してくれていたので、そこに関しては迷いなく自信がありました。これまでのBリーグの歴史では、屈強なビッグマンがインサイドでゲームを支配するスタイルが主流だったと思います。でも、僕たちがこのポジションレスバスケをやり抜いて優勝したことによって、日本のバスケ界、そしてBリーグに『新しい可能性』を示すことができたんじゃないかなと思っていて自信を持っています。」
マオールHC「確かにスタイルであったり、自分たちのコンセプトであったり、そういう戦術的なところというのはもちろん大事だとは思うんですけども。ただ、バスケットボールで勝つための方法は一つだけではないと思っています。正直、自分たちのシステムが他より優れていたから今シーズン勝てたのだとは思っていなくて、システムそのものよりも、自分たちがやろうとした戦術を、コート上で完璧にエグゼキューション(遂行)しきったからこそ、こうやって勝てたと思っています。他のやり方であっても、それを徹底して遂行できれば勝つことは可能だと自分は信じています。もう一つ言えるのは、自分は本当にラッキーだったということです。本当に自分の周りのコーチやスタッフが素晴らしいですし、何より素晴らしい才能を持った選手たちが揃っていました。彼らのような偉大な選手たちがいたからこそ、自分たちのシステムが通用したのです。選手たちの質の高さなしに、システムの成功は絶対にあり得なかったと思っています。」
――イ選手にお伺いします。今日の優勝は、あなたのこれまでのキャリアにおいて最高の日となったでしょうか? また、韓国のファンや、本国のご家族に向けてメッセージをお願いします。
イ「間違いなく、僕のバスケットボールキャリアにおいて最高の日の一つになりました。リーグを制覇するというのは常に非常に大きな偉業ですし、それこそが自分たちがプロとしてバスケットボールをプレーする最大の理由です。質問は、家族と韓国のファンに向けてでしたよね? まず家族に対しては、僕のパフォーマンスが良い時も悪い時も変わることなく無条件でサポートし、常に一番近くで味方であり続けてくれたことに心から感謝しています。そして、韓国という母国を背負ってこの素晴らしいリーグでプレーできたこと、そしてこうして全てを勝ち取れたことに、感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。」
――馬場選手にお伺いします。最終クォーターにコートへ戻ってからのご自身のパフォーマンスについてお聞きします。値千金のミドルシュートや3Pシュートだけでなく、フロアダイブや傷だらけになりながらのスティールなど、まさに満点とも言える素晴らしいプレーでしたが、ご自身の活躍をどう振り返りますか。
馬場「僕に関しては、ファウルが少し重なっていたというところもあって、あの時間帯でコートに入ることになったんですけど、出られない時間帯にコートに出ていた選手たち、山口(颯斗)選手だったり、星川(堅信)選手といった若いメンバーたちがそこまで死に物狂いで頑張っていて、それを引き継いだときに『絶対に自分がやらないわけにはいかない。』という強い思いがありました。そこに関しては、普段はあまりベンチで長く座っている時間はないのでもう一回しっかりと頭を集中し直してコートに入ることができたと思いますし。何より、本当に『この試合に勝ちたい。』という執念がすべてのプレーに全面に出たかなと思っています。」
――イ選手にお伺いします。本日23得点の大活躍でした。徹底マークされながらも3Pシュートを3本沈め、効果的なドライブアタックや高確率のフリースローなど、オフェンス面でのオールラウンドさを見事に証明したと思いますが、ご自身のパフォーマンスをどのように評価していますか。
イ「そうですね。本当に試合のシチュエーションというのは常に試合中も冷静に観察していて、その瞬間ごとにチームが最も必要とするプレーを自分はしっかりと忠実に遂行できたかな、という印象を持っています。普段、自分は試合中や練習のウォームアップのときでも絶対にダンクを狙いに行くようなタイプではないんですけども。今日はチームを勢いづけるために、ここで叩き込むべき場面だと判断したのでダンクしました。リングを強く引っ張ってしまったので、逆にリングに対して『すいません』と謝らなければいけませんね(笑)。」
――馬場選手にお伺いします。これまで国内外の様々なチームでプレーされてきた馬場選手にとって、長崎での在籍期間はキャリア最長となります。『5年で日本一』という目標と重圧がある中で、この長崎で過ごし、今日優勝を成し遂げるまでのプロセスは、ご自身のキャリアにおいてどのような意義を持っていますか。苦しい時間だったのか、あるいは充実した楽しい時間だったのか、その辺りも含めて教えていただけますでしょうか。

馬場「『5年で優勝するチームを作る』と考えていたのは組織の上の人たちで、自分はそういう思いはそこまで持たずにプレーしていたんですけど、長崎ヴェルカへの加入を決めさせてもらったときには、『優勝する』という大きな覚悟を持って入ってきました。でも、1年目、2年目は、自分の思うようなプレーができず。ある意味、自分自身に甘さがあったなと痛感しました。Bリーグのレベルの高さ、このリーグの恐るべき成長スピードというのを身をもって感じさせられたシーズンでもありました。そこに関しては、負けている立場とはいえ、日本のバスケットボールがこれほど成長しているという事実に胸が熱くなる自分もいましたし、そういうことを考えながら過ごしていました。でも、今こうして優勝することができて、やっぱりこういう栄光の瞬間を達成するには、あの光の当たらない苦しい時間というのも絶対に必要だったんだなと改めて強く感じます。あの時間があったからこそ、今の自分たちがあると思います。結果論ですけど、あの悔しい時間が僕たちを強くしてくれたと思いますし、今振り返れば、すごく充実した時間でした。」
マオールHC「少しだけ私からどうしても伝えたいことがあります。今シーズンの彼のプレー、そしてチャンピオンシップでの彼のパフォーマンスを見た方なら誰もが理解していると思いますが、馬場(雄大)選手というのは間違いなく、Bリーグにおける日本人選手でダントツのNo.1です。実力において、彼と2番目の選手との間にはとてつもなく大きな差が存在します。オフェンスに関してもディフェンスに関しても完全に飛び抜けていて、完全に1番だと思っています。ですから、今の質問に対して指揮官である私から言わせていただくと、彼のように勝者のメンタリティを持った特別な選手が組織にいて、しっかりと背中で引っ張ってくれたからこそ、こういうチームが出来上がり、こうして今優勝できているのだと自分は強く確信しています。隣にいるイ選手も、全く同じように思っていますよ。」
――馬場選手にお聞きします。長崎ヴェルカの日本一達成は、長崎の地域にとって非常に大きな活力になったと思います。常々『地域の活力になる』ということを信念に戦ってこられましたが、見事にその約束を果たした今、改めて長崎のブースターや地域の皆様へどのような思いを伝えたいですか。

馬場「感謝の一言しかありません。正直、このファイナルという大舞台で、長崎からこれほどたくさんのブースター(ファン)の方が横浜アリーナに足を運んでくださるとは思っていなかったです。画面越しでも、パブリックビューイングなどを通して本当に多くの方が自分たちの背中を押し続けてくれたとも聞ききました。自分たちが勝っている時も、負けて苦しんでいる時も、まったく変わることなく同じ熱量、同じ情熱を毎年注ぎ続けてくれたブースターの皆さんがいたからこそ、僕たちはここまで走ってくることができました。心から感謝していますし、『あなたたちがいたから、この優勝を勝ち取ることができました。』と、真っ先に伝えたいです。」
琉球ゴールデンキングス
桶谷HC「ここまで連れてきてくれた全員に感謝したい」

――敗戦直後の率直な心境と、敗因がどこにあったのか教えてください。
桶谷HC「まず、長崎のヘッドコーチ、そして選手の皆さんにおめでとうと率直に伝えたいです。敗因は色々とあるとは思いますが、長崎が僕たちを上回ってきた。大事な場面でタフショットを決めて、僕たちを上回ったというところが今日の全てだと思います。ただ、ここまでチームを連れてきてくれた選手やスタッフ、このチームに関わる関係者の皆さん、そして何より僕たちを支えてくれたファンの皆様、沖縄の皆様には心から感謝しています。最後、この舞台で試合ができたのは皆様のおかげです。今はただ、負けて空しい、、悲しいという気持ちです。」
岸本「チーム全員で優勝を目指して戦ってきた中で、今日負けてしまって非常に悔しいです。ゲーム自体は勝てるチャンスがあったと思うし、本当に自分たちも(優勝の)目の前まで来ていたんだけどなというところです。桶(桶谷HC)さんとも話していたのですが、悔しさというよりは、儚さというか今はなんとも言えない虚しさや、言葉に表せない気持ちを抱いています。結果として長崎が自分たちより素晴らしいチームだということは結果として事実だと思いますし真実です。それを受け入れて、これからの人生に進んでいきたいと思っています。」
――チームは岸本選手のために、岸本選手はチームのために戦ってきたファイナルでした。準優勝という結果をどう受け止め、今後に活かしていきますか?

岸本「結果だけを見れば、純粋に自分自身の力不足だったと受け止めています。ただ、この舞台に向かっていくまでの時間そのものは、私にとってかけがえのない財産です。表現が合っているか分かりませんが、このファイナルに向かって取り組んできた時間は、本当に楽しくて充実していました。もちろん上手くいかないこともたくさんありましたし、ぶつかり合うこともありました。ただ改めて、優勝に向かうための時間が自分にとって本当に大切で、もしかするとそれが自分にとって好きな時間だったのだなと感じています。」
――佐土原選手にとって「岸本選手のために」という想いや、この準優勝という結果はどう映っていますか。

佐土原「自分はやっぱり優勝したいという気持ちがあってキングスに来ました。(岸本)隆一さんは昨シーズン、怪我でこのファイナルの舞台に立てなかったこともあって、みんなに隆一さんを優勝させたいという気持ちをすごく持っています。自分もキングスでどん底にいる時に、すごく隆一さんに助けられましたし、チームの大黒柱である隆一さんがいなければここまで来られなかったと思います。気持ちはみんなすごくあったけど、それを叶えられなかった。自分たちもすごく悔しいです。でも、隆一さんも言ったように、ここまでの過程はすごく充実した時間でした。みんなで話し合いをしたり、個人個人で集まって話し合いをしたり。今シーズン、ケヴェ・アルマ選手が諸事情で離脱し、そこに短期契約で来てくれた選手がいて、すごくチームとしても難しいシーズンだったと思うんですけど、みんながここに来るために、ひとつひとつ何をしなければいけないのか、毎日しっかり考えてきたからこそ、ケミストリーがここまで来られたのだと思います。 この時期まで試合できるのは、この2チームだけなので、すごく誇りに思っています。そこは来シーズンにつなげていきたいなと思います。」
――Bリーグ初年度の開幕戦を戦い、そして現行制度最後の試合でも一番最後までコートに立った岸本選手にとって、今日の敗戦はどのような意味を持っていますか。

岸本「メディアの方からも何度か言われていたこともあったので、Bリーグの開幕戦といまの制度のなかで試合を戦えたというのは、自分自身、ご縁というか、運命なのかなと思っています。 もちろんそこで勝って終われたら一番良かったと思うんですけど、負けは負けでこれから自分がどう振る舞い、どう生きていくかで、今日の負けの意味を見出せる、むしろ、これから意味を見出していくしかないくらいに今は思っています。試合が終わったあとは「持ってないな」って正直思いましたが、 “しょうがなかった”とは思っていないですし、これはこれで僕の人生だと受け入れて、次に進んでいくだけかなと思っています。」
――桶谷HCに質問です。佐々宜央アソシエイトHCが加入してから、お互いに非常に良い関係性を築いてこられたと思います。このファイナルにかける思いも強かったと思いますが、シーズンを終えて、改めて佐々アソシエイトHCと過ごしてきた時間や関係性を振り返り、今どのような感情が浮かんでいますか。
桶谷HC「本当に宜央と二人三脚で進んできて良かったなと思います。結果こそ準優勝で、終わった後はお互いに言葉にはなりませんでした。申し訳ないなという思いもありました。一緒にやってきて、彼自身やっぱりヘッドコーチをやりたい思いというのもある中で、こういうふうに僕のアシスタントをしてくれているので、もちろんそこへの恩返しというのもありましたし、そういう面では本当に申し訳ない思いでいっぱいになりました。それでも、本当に一緒にいた時間だったり、このチームをどうにかしたい、優勝させたいという思いを持って過ごした時間というのは、僕にとっても特別なものになったと思うんです。2人の中でそれをしまって、またお互いがいいバスケ人生を歩んでいけるようにしていきたいなと思います。」
――岸本選手に質問です。今季限りでの現役引退を発表された長崎の狩俣昌也選手と試合終了後に長く抱き合って言葉を交わしていましたが、どのようなお話をされていたのでしょうか。また、彼のプロキャリアをどのように見ていますか。
岸本「最後、昌也さんにとって本当に素晴らしい形でプロキャリアを終えられたんじゃないかなと感じたので、純粋に『おめでとうございます』ということと、『本当にお疲れ様でした』という敬意をお伝えさせていただきました。もちろん、コートの上で直接やり合えたことは非常に感慨深い思いがありました。ただ、昌也さんのキャリアを見ても、やっぱり彼自身が納得のいく選択をずっとブレずに続けてきた結果、今こうやって最後、ファイナルという大舞台で終えることができたんじゃないかなと思います。僕もそこに対する憧れみたいなものがあって、だからこそ、もし自分が引退するときが来たら、彼のように誰もが納得し、祝福してくれる素晴らしい終わり方をしたいと強く思いました。対戦相手という形にはなりましたけど、僕自身、あのようなキャリアの終わり方というのは素晴らしいなと思いました。本当に昌也さん、お疲れ様でした、という気持ちでいっぱいです。」
――桶谷HCに質問です。今シーズン、アレックス・カーク選手とジャック・クーリー選手のツインタワーが非常に機能していたと思いますが、この2ビッグをどのようにしてこれほど見事に機能させたのか、ぜひ言葉にして説明していただけますでしょうか。
桶谷HC「アレックス(カーク)とジャック(クーリー)に関しては、まず2人とも本当に献身的なプレーヤーでポストアップもしますし、ボールスクリーンへもスプリントして行ったり、すべてのリバウンドに毎回絡みに行ったり、他の人が嫌がるような泥臭い仕事を、全部あの2人が率先してやってくれるという強みがあります。それを見ている周りの選手たちが、『彼らをもっと生かしたい、コート上で機能させたい』という強い思いがないと、そもそもこういうことはできないと思うんですよね。松脇(圭志)がいたり、今村(佳太/現名古屋D)がいたり、ヴィック(ロー)がいたり、周りの選手たちがそういうふうに上手くスペースを作ったり、お互いがお互いを必要とし合うからこそ、できたんじゃないかなというふうに僕は思います」
――Bリーグ初年度の開幕戦から走り続け、キングスを象徴する存在として苦楽をともにしてこられた10年間でした。周囲の誰もが、岸本選手が歩んできたこの10年間を『本当に素晴らしいものだ』と称賛すると思いますが、岸本選手ご自身は、これまで必死に走り続けてきたご自身に対して、今どのような言葉を投げかけたいですか?
岸本「本当に『よくやった』と言ってあげたいんですけど、それよりも『もっとやれたんじゃないか』というのが、率直に自分自身に言える部分かなと思います。Bリーグが始まってから本当に必死で。同時に、日本のバスケットボール界が大きく変化していく中で、その荒波にどうにかバランスを取ってずっと乗っかっていたら、気づけば今の立ち位置というか、チームの今の場所にたどり着いていた、という感覚なんですよね。本当に、振り返ればあっという間に過ぎたなと思っています。ただ、個人的にずっとこだわってきたのは、周囲の環境や状況、見られ方が色々変わっていったとしても、とにかく『コートの上で何ができるか』ということ。そこだけを本当にこだわってきたつもりなので、そこに対しては一切の後悔はありません。これはこれからも続いていくことですし、その部分をもっとこれからも大事にしていきたいなと思っています。あとは本当に、この10年で色々な感情を味わせてもらって、その一つ一つの感情に自分なりに向き合ってきたことに自負があるので、これからもそういった部分を大切にしながら、一歩ずつ進んでいきたいなと思っています。」
――5年連続でファイナルに辿り着いた琉球ですが、その中に根付く「勝者のメンタリティ」や「キングスのカルチャー」というバトンは、今後どのように継承されていくと考えていますか。
桶谷HC「結果だけで判断されるプロの世界ではありますが、私自身は、毎シーズンの最後に『このチームで一緒にバスケットボールができて良かった』と全員が心から思えた時に初めて、キングスの伝統が次の世代へつながっているのだと実感します。結果は後からついてくるものであり、私たちが意図して作っているわけではありません。1年1年、とにかく真摯に良いチームを作ることに没頭してきました。今シーズンは準優勝に終わりましたが、このメンバーで確実に積み上げてきたものがあるという強い自負があります。この5年間、ファイナルの舞台に連れてきてくれた選手たちには感謝しかありません。私が導いたのではなく、本当に彼らに連れてきてもらったと感じています。チームには隆一(岸本)がいてジャック(クーリー)がいて、田代(直希/千葉J)もいた。その文化をずっと背中で語り、継承し続けている選手たちがいます。この尊いバトンを、これからもずっとキングスの中でつなぎ続けていってほしいと願っています。」
――桶谷HCにお伺いします。日頃から『バスケットボールを見る文化を作りたい』とおっしゃっていました。沖縄から5年連続でこの最高の舞台に進出し、日本全国のバスケットボールファンにその文化がどういうものかを伝えてきたと感じていますが、ご自身としては、その『見る文化を作る』という目標に対して、今シーズンどれくらいできたと感じていますか。

桶谷HC「いい質問ですね。嬉しい質問です。やっぱり勝ち負けがある世界ですから、僕たちも本当に色んなプレッシャーだったり、ストレスがある中で戦っていて、『バスケットボールって楽しい』と純粋に見て思っていただいて。1回見にきてくれたファンの人たちや、1回見た子どもたちが『バスケットボールをやりたい』とか『バスケットボールをもっと見たい』、『次はもっといい席で見たい。』とか、そういうふうに思ってもらえることで、そこの地域が循環していくということがあると思うんで。やっぱりバスケットボールを見ることで、人々の生活に彩りや付加価値が生まれていく。そんな素晴らしい世界を作ることこそが、僕たちの存在意義だと思っています。今回、勝ちきることはできなかったんですけど、沖縄から現地へ見に来ていただいた人たちや、長崎から応援していただいた人たち、テレビで見ていただいた人たちがいる。そういった人たちがまた『バスケットボールって楽しいな、また見に行きたいな。』と感じてくれたり、子どもたちが『自分たちも将来ここで戦いたいな、やってみたいな。』と思ってもらえれば。そういうものが見せられたら、本当にそれが最高な時間かなというふうに思います。」
――岸本選手に質問です。現在、台湾をはじめアジア全域で多くのファンがBリーグに注目し始めています。彼らが琉球ゴールデンキングスというチームを覚えている大きな理由は、チームの強さだけでなく、皆さんが作り上げてきた独自のカルチャーやエネルギー、そしてアリーナの素晴らしい雰囲気があるからだと思います。アジア各国のバスケットボールファンに向けて、琉球はどのようなアイデンティティやイメージを発信していると感じていますか。
岸本「ちょっと難しい質問ですけど、僕が捉えている部分で言うと、とにかくキングスを応援してくれる方のスタイルというのは、自由でいいと思っていて。色んな応援の仕方があって、それを尊重し合って成り立っていると思うんです。そういった部分も、これからも沖縄だけじゃなくて、いろいろな地域の方に知ってもらえたらいいなとは思います。僕は地元出身の選手ですけど、沖縄、全国、そして海外の選手たちが『よりキングスでプレーしたい。』と思ってもらえるようなチームになってきたと僕は思っているので、これからも、そういった部分を表現できたらいいなと思っています。」
――岸本選手と桶谷HCに質問です。Bリーグ初年度からこれまで戦い抜いてこられたこの10年間を、桶谷HCは復帰後5年間を振り返って、琉球ゴールデンキングスというチームがどのように成長し、歩んできたと感じていますか。

岸本「似たような答えになってしまうんですけど、僕自身は本当に必死にやってきたので、まだ振り返って『自分たちがこういうふうに成長してきたな』と、具体的なことはちょっと難しいです。ただ、始まった当初よりは間違いなく、応援してくれる方の数というのは増えたと思いますし、Bリーグが始まる前からの地元の温かい恩恵というのか、たくさん応援していただいていた中でBリーグができてという感じなんです。最近特によく感じるのは、アウェイゲームでも本当にたくさんの方に応援していただいていて、それこそが自分たちがやってきた価値なのかなと思います。もっとこうやれたことはあったのかなとも思うんですけど、それなりに必死にやりながらなんとか自分自身が成長できていたら、リーグの成長とともに自分自身も成長できていたら嬉しいなという気持ちです。」
桶谷HC「隆一がファンや地域とのつながりを話してくれたんですけど。もう本当に、僕が最初に(かつて)ヘッドコーチとして入ったとき、初戦で敗れた後に、僕がファンの方々に対して『声が出ていないんじゃないか』といった発言をしたことがあったと思うんです。でも、今回のファイナルを見てください。本当に凄いですよ、3試合とも。めちゃくちゃ声が出ているじゃないですか。本当に、ちょっとした日々の積み重ねだと思うんですよ。積み上げをどれだけしてきたか。もちろん勝ち負けがあって、5年連続でこの大舞台に来られたかもしれないですけど、そこにはチームだけでなく、ファンの人たちもずっと一緒に歴史を積み重ねてきてくれていると思うんです。もちろんここにいるプレーヤーたちもそうですし、ブースターの皆さんと一緒に、キングスはカルチャーを積み上げてきていると思います。それは長崎ヴェルカの皆さんだって同じだと思うんですよね。現行のBリーグはこれで終わりますけど、次はB.PREMIERという新しいステージがあると思うんで。そこでもまた、みんなと一緒にいろいろなものを積み上げていって、日本のバスケット界をもっともっと良くしていきたいなというふうに思います。」
――佐土原選手に伺います。今シーズンから加入し、プロとして3チーム目を経験されました。キングスは5年連続でファイナルに進出していますが、実際に1シーズンを共に戦ってみて、なぜこれほど強さを維持し続けられると感じましたか。
佐土原「環境もそうですし、優秀なコーチやスタッフ、優秀な選手が揃っているというのはあると思うんですけど、応援してくれるファンがいてくれるからかなとすごく思っています。本当に特殊と言いますか、他のチームにはあまりないような感じなんです。沖縄県には、他にもプロや実業団チームがありますが、沖縄の中で一番と言いますか、本当に応援されているチームであって、県全体がすごくキングスを応援してくれている。そこが強さの秘訣なんじゃないかなと思っています。どんな試合、どんな相手だろうと会場に来て凄まじい声援を送ってくれます。横浜での3試合で今日は平日。火曜日の夜7時からというのは、普通のサラリーマンでは、現地に来るのは難しいと思うんですけど、こうやって横浜アリーナが満員になって、全力で自分たちを後押ししてくれる。この現場で戦っている人たちの力もありますけど、でもそれ以上に、やっぱり応援してくれているファン、ブースターの皆さんの熱量が凄く高いのが、チームの強さにつながっているのかなと自分は思います。」
岸本「僕は入った時からすごく感じています。単純にそれが本当に年々膨らんでいったというか、より大きくなるにつれて自分自身も、責任を感じながらやってきたかなと思っています。」
