FE名古屋で開催、鍵冨太雅・針間大知が参加するバスケクリニック「B.DUNK KIDS PROJECT 2026」レポート

漫画家・井上雄彦氏と株式会社集英社が共同運営している「スラムダンク奨学金」とB.LEAGUEが協力して、全国の小学生を対象に未来のバスケットボール選手を育成するクリニック「B.DUNK KIDS PROJECT 2026」が、7月29日にファイティングイーグルス名古屋の練習場(豊田通商緑体育館、愛知県名古屋市)で開催された。

スラムダンク奨学生としての留学経験を持つプロ5年目の鍵冨太雅と、昨季FE名古屋でプロデビューした2年目の針間大知という若手スターを含むFE名古屋スタッフ4人によるこの日のバスケットボール・セッションには、地域の小学生男女約50人が参加。

鍵冨がイニシアティブをとってのハドルで全員が「ワン、ツー、スリー、B.DUNK!!」と元気な掛け声を挙げて気持ちを一つにした後、約2時間にわたって楽しく汗を流した。

ドリブルを取り入れながらのウォームアップに続いて行われたのは、4人のコーチがハーフコート4面を使ってそれぞれシュート、ドリブル、ハンドリング、1対1の攻防と異なる4項目を担当するステーションドリル。学年と競技経験を考慮して4つのグループに分けられた子どもたちは、それぞれの項目に8分ずつ順繰りに取り組んでいった。

項目ごとの切れ目には、大塚製薬の協力を受けて用意されたポカリスエットでウォーターブレーク。一回りするのに約40分かかるドリルはなかなかの運動量だが、子どもたちはリフレッシュしながら、選手とコーチが伝授するドリルを楽しんでいた様子だった。

「B.DUNK KIDS PROJECT 2026」で届けられる時間は、単に子どもたちとトッププレーヤーが触れ合うというだけはない。オープニングハドルの前に鍵冨が子どもたちに伝えた「今までできなかったことを何かひとつできるように。そして楽しんで帰ろう」という趣旨を、しっかりと意識したドリルの内容には、こだわりが感じられた。例えばドリブルを取り入れたウォームアップから、「苦手な方の手から最初にドリブルしてみよう」と声がかかり、子どもたちは自然に「今までできなかったこと」にチャレンジし始める。皆、一生懸命だ。できる子、できない子…。共通しているのは、「やろうとしている」ということ。コーチ陣はその気持ちを引き出し、背中を押していく。
ステーションドリルで鍵冨が担当したシューティングでは、かなり難しいフェイクやスピンムーブのコンビネーションから安定したフィニッシュにつなげるプレーを、鍵冨自身がデモンストレーションした後で子どもたちが実践した。「難しくてできない…」と下を向く子はいない。鍵冨からは具体的に1歩の踏み出し方、体の動かし方などが細かく直接指導された。「最後はしっかり止まって。勢いで流れてレイアップにならないように」——鍵冨のそうした言葉を受け取る子どもたちの瞳はひたむきだ。どのドリルでもコーチ陣から掛けられる声にそんな情景が生まれ、子どもたちは時間いっぱい挑戦を続け、笑顔でポカリスウェットのウォーターブレークを迎えては次のドリルへと元気に駆け出していくのだ。
「何か一つ、持って帰ってもらえるように」(鍵冨)

鍵冨に、このセッションで特にこだわって子どもたちに持ち帰ってもらおうと思ったことは何かと尋ねると、「バランス」とのことだった。「ドリブルでどんな技を繰り出しても、最後のシュートでしっかりバランスを取ることを忘れずにやってほしいという考えで、あえて難しそうな動きを入れて、それでも最後はしっかり止まってショットというのを意識しました。最初に必ず『今日の目標はちゃんとバランスとってショットにもっていくことだよ』と伝えて、最後のハドルでは『今日はシュートを打つときに何を意識してやったんだっけ?』と確認していました」。それぞれのコーチから何かひとつずつ持ち帰ってもらおうという考えで全体が構成されている。

参加者の中には、コーチ陣の意図をしっかり受け止めたことが伝わるコメントを残した子もいた。日進ミニバスケットボールクラブ所属の松岡栞凜さん(6年生)は、鍵冨から教わったドリブルムーブのコツをつかみ、最後のショットまでバランスを崩さずに打ち切る一連の動きを上手にこなしていた。クロスオーバーした方向とは逆へジャブステップを踏み、そこからフィニッシュへ向かう動きについて、「中にステップを入れてから外に行く動きをもっと練習していけば、相手を抜けると思いました」と説明できたのは、プレーのイメージを明確につかめていたからだろう。松岡さんの将来の夢は、子ども向けの歯科医になって、治療後にいろんな遊びやスポーツを楽しめる場所を作ることだという。「バスケが上手な歯医者さんになれたらいいね」と伝えると、にっこり笑顔でうなずいてくれた。
FE名古屋のスクール生で5年生の岩崎凌也さんが感じたのは、「1対1のディフェンスから真面目にやることが大事」ということだった。岩崎さんはドリブルが力強く、ダブルボールも楽々こなすが、針間が担当したルーズボールから1対1の攻防などからあらためてディフェンスの楽しさや大切さを感じたようだ。「将来の夢はバスケットボール選手。NBAに行きたいです」と言うだけあり、練習に対する意識自体も相対的に高いのだろう。

そんな子どもたちの表情は、ステーションドリルに続いて行われた鍵冨・針間コンビ相手のフルコート・スクリメージでさらに輝きを増した。鍵冨も針間も遠慮なく攻める。異なる5人で攻めてくる子どもたちを次々と相手にしながらコートを行ったり来たりしているうちに、シーズン中のようにエンジンがかかり始めた。そうなると、子どもたちが3人、4人と群がるようにガードしてきても、華麗なクロスオーバーの連続でほんろうしてはリムアタックや3Pシュートが炸裂。鍵冨は豪快なダンクも披露し、子どもたちを仰天させた。

セッションの締めくくりは鍵冨と針間に対するQ&Aの時間だったが、気持ちがほぐれてきた子どもたちからは次々と質問が浴びせられた。「何点取ったことがありますか?」「どうやって大きくなったの?」——バラエティに富んだ質問に鍵冨と針間は丁寧に答えた。解散前には2人から参加者全員にチームグッズやポカリスウェットのお土産が直接手渡され、さらには記念撮影とサイン会で忘れられない夏の思い出をプレゼント。先に触れた松岡さん、岩崎さんだけでなく、参加した子どもたち一人一人が、FE名古屋とバスケットボールをこれまでよりももう少し好きになって帰ったに違いない。
成長を促す栄養の循環

こうしたバスケットボールクリニックを子どもの頃に体験したという鍵冨は、その意義を以下のように語る。 「幼少期はアメリカに住んでいて、夏休みにはいろんなところでバスケキャンプに参加しました。最初はハラハラしながら行くのですが、いざやってみたらシュートが決まってうれしかったり楽しかったりで、気付いたらうまくなってチームに入らせてもらっていて。キャンプとかクリニックの経験の積み重ねで、結果としてバスケが好きになったのかなと思います」
ひとりっ子だった鍵冨は、実はかなりシャイな性格と自己分析している。しかし話していても全くそう感じることはない。「新しいチームに入ったときにどうやって仲良くなるの?」という参加者からの質問に対して、「初めて会う人には必ず挨拶をします」と答えていたが、クリニックで見知らぬ子たちの中に飛び込んで認められていく過程を積み重ねたことで、そうした習慣を学んだに違いない。そうしているうちに自然と友だちもできたといい、キャンプやクリニックに参加した価値を実感している様子だった。
今では子どもたちを相手にコーチ役を務め、コミュニケーションの大切さを説く立場。「子どもたちに教えるのは難しいですね。1年生から6年生までいれば、シュートが届く子、届かない子、普通にバスケができる子からようやく動きができるかどうかの子もいるので。責任も感じます」と言いながら、「それでも楽しんでやっていますよ」と笑顔を見せた。
コーチ役を楽しむ鍵冨や針間の笑顔も、子どもたちの成長を促す栄養に違いない。また逆に、子どもたちの笑顔から鍵冨と針間も力を得たことだろう。「B.DUNK KIDS PROJECT 2026」は、その循環をじかに感じられる場所だった。
「B.DUNK KIDS PROJECT 2026」は8月以降もクリニックを開催予定。夏休みの思い出のひとつにバスケを体験してみてはいかがだろうか? 全国のクリニックの詳細はこちら

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