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大倉颯太選手、ホーキンソン選手と子どもたちが一緒に学んだ「備える・動ける・助ける」[B.Hope 防災バスケディフェンスアクション]

2026.10.02

見どころ・レポート

増上寺の特設コートに集ったプロ選手と子どもたち【(C) ガチャムク】

「りそなグループ B.LEAGUE 2026-27 SEASON TIPOFF CONFERENCE/CEREMONY」が行われた9月1日。「防災の日」にちなみ、東京都港区の増上寺本殿横に設けられた特設バスケットコートにて「B.Hope 防災バスケディフェンスアクション」が開催された。

なぜ9月1日が「防災の日」なのか、ご存じだろうか。

1923年(大正12年)のこの日、のちに190万人が被災し、死者・行方不明者が10万5千人余りに上ったと言われる関東大震災が発生。この歴史的な惨事を忘れず、日本列島が台風シーズンを迎えるこの時期に、地震や風水害に対する備えの意識を高める日として「防災の日」は制定された。その9月1日に、B.LEAGUEが地域の子どもたちを対象に行ったのがこの取り組みだ。バスケを通じて防災意識の向上を図るとともに、B.LEAGUEのプラットフォームを通じて広くファンへ備えの重要性を伝えていくことが狙いである。

【(C) ガチャムク】

進行役を務めたのは、アルバルク東京(A東京)アカデミーコーチの清水英暉氏と、東京サンロッカーズ(東京SR)U12ヘッドコーチ兼アカデミーコーチの粟屋翔真氏。コートには両クラブのスクール生である小学生16名が集まり、特別ゲストとして大倉颯太選手(A東京)、ジョシュ・ホーキンソン選手(東京SR)、そしてポンキッキーズなどでもお馴染みの人気キャラクター・ムックが登場した。

プログラムの冒頭、子どもたちには本日のテーマとなる以下3つのキーワードが紹介された。進行役からの問いかけに対し、子どもたちは元気よく手を挙げながら、防災の基本アクションをバスケットボールの動きに置き換えて紐解いていった。

【備える】防災における水や非常食、防災頭巾などの準備を指す。進行役は「バスケに関連することで言えば、日々のトレーニングや体のコンディショニングを整えることと同じです」と語り、いざという時のための土台づくりの重要性を伝えた。

【動ける】危険な状況下において、素早く避難行動をとること。たとえば高さ15メートルの津波が予想される場合、それはバスケットゴールのリング(高さ3.05m)約5個分に相当する。圧倒的な脅威に対し、清水さんと粟屋さんは「本当に高いところを見つけておいて、そこに素早く逃げることが大切です」と子どもたちに呼びかけた。

【助ける】進行役が「バスケットボールで助けると言えば?」と問うと、子どもたちからは即座に「リバウンド!」「アシスト!」という声が上がった。防災においても同様に、周囲の人に「逃げて」と声をかけたり、困っている住民を助け合ったりするチームワークが必要不可欠となる。

【(C) ガチャムク】

続く「ファーストアクション」は、災害発生時の初期行動(ディフェンスアクション)を身体に染み込ませるプログラムである。子どもたちはボールを持ってコートに広がり、ドリブルを突き続ける。そこで進行役が掲げた災害パネルの種類に合わせて、素早く正しい行動をとるというルールだ。

「火災」のパネルが出れば、ドリブルを即座に止めて姿勢を低くし、煙を吸わないように鼻をつまむ。「地震」であれば、重心を低く保ち、ヒザと両手を床についておしりを下げ、頭を上げる「カエルのポーズ(四つん這い)」をとる。「津波」の合図では、コートの端に設定された高台エリアへ向かって一斉にダッシュして避難する。さらに「数字」のパネルが出た場合は、指定された人数のグループを素早く作り、声を掛け合ってしゃがむという複合的な要素も盛り込まれた。

【(C) ガチャムク】

プログラムの合間には、津波の脅威について具体的な数字が共有された。進行役が「災害が発生したら一番大事なことは、危険な場所から逃れ、命を守ることです」と語りかけたように、海岸付近に近づいた津波のスピードは時速約36kmに達する。これは100mを10秒で走りきる速さであり、どれだけ足が速くても人間が逃げ切ることは不可能だ。進行役は「だからこそ、津波が見える前に高台へ避難することが大事です。もし逃げ切る時間がないと感じた場合は、背が高く頑丈そうな建物を探して、できる限り高い階へ避難するようにしましょう」と続け、初期行動がいかに大切かを子どもたちに説いた。

チームワークが試される「防災クイズリレー」

 

後半は、子どもたちが4チームに分かれて「防災クイズリレー」が実施された。防災クイズに対し、チーム全員で話し合って答えを1つに決める。その後、スタートしてドリブルとシュートのリレーを実施。全員が早く終わった順に解答権を獲得するという内容だ。大倉選手とホーキンソン選手も質問ごとにチームを移動しながら輪に加わった。

クイズには実践的な知識が散りばめられていた。"地震が起きたとき、バスケをしていたらどうする?"という問いには「素早くその場でカエルのポーズをする」という正解が導き出され、身を守ることが最優先であることが改めて確認された。また、"大津波警報が出るときの津波の高さは?"という問いに対しても、子どもたちは「バスケットゴールのリングの高さ」と即座に回答。大津波警報は3m以上の予想で発令されるため、リングの約3.05mが目安となる知識が共有された。

最後に出された"バスケットのチームワークと同じように、防災でも大切なことは何でしょう?"という問いに対しても、子どもたちは迷わず「みんなで助け合う」と力強く答えた。進行役は「防災もバスケも1人ではない。仲間との協力が大切だということを覚えておいてください」と呼びかけ、イベントは笑顔とともに締めくくられた。

参加した小学生に話を聞くと、「災害のことも、バスケのことも学べて楽しかったです」「リレーの問題を答えるときが楽しかった」と笑顔を見せた。また、「ホーキンソン選手が大きいのは知っていたけど、これほど大きいんだと驚きました。大倉選手もすごく大きかったです」と、憧れのプロ選手と間近で触れ合った興奮も隠しきれない様子だった。

選手とコーチ陣が語る「日々の備え」と「楽しく学ぶ意義」

 

イベント終了後のインタビューで、選手たちは自身の防災に対するリアルな意識や経験を語った。

アメリカ・シアトルで育ったホーキンソン選手は「私が住んでいたシアトルは、いくつか大きな地震を経験している土地なので、小学1年生くらいのときに避難訓練をやっていましたね。それは今でも覚えています。いつ災害が起こるか分からない。だから、常に準備していくことが大切です。何かが起こってから必要なものを探すのではなく、事前に準備することで、いざというときに動くことができます」と日頃からの備えの重要性を改めて強調した。

そして、石川県出身の大倉選手にとって防災は非常に身近なテーマだった。「僕が災害に対して備えるようになったのは本当に最近で、3年前の能登地方での地震がきっかけです。実際に被害に遭ってしまった友人から、生の体験談を聴いてからでした。以来、避難マップの確認や携帯トイレ、食料などの備蓄をするように準備しています」と語り、身近な友人の被災経験が自らの備えの転機となったことを真摯に振り返った。

シリアスになりがちな防災というテーマだからこそ、バスケットボールを組み合わせることで楽しく学ぶことができる。ホーキンソン選手は「子どもたちにとって、こうした楽しい環境の中でシリアスなトピックについて触れるというのは、ものすごくいい機会だと思います。バスケを掛け合わせることで記憶にも残るはずです」と笑顔を見せた。一方、大倉選手も「シリアスに伝えるというよりは、こういう想定を楽しみながら知るだけで、いざというときに何をしたらいいか覚えてくれると思います」と、イベントの確かな手応えを口にした。

選手たちだけでなく、進行役を務めたコーチ陣もこの活動の広がりに期待を寄せる。粟屋さんは「『備える』『動ける』『助ける』という3つの言葉は、防災だけでなくバスケットボールにも必ず繋がってきます。今回はボールを使いましたが、ボールがなくてもどこでもできるアクションなので、いろんなところで広がっていってほしい」と、この取り組みが日常に根付くことを願った。

特別ゲストのムックが残した「災害というのは、いつ、どこで起きるか分かりません。ですから、普段からの準備がとーーっても大切なんですぞ~!」というメッセージが象徴するように、いつ訪れるか分からない非日常に対して、日常の中でいかに備え、動き、助け合うことができるかが何より問われる。

B.LEAGUEのプラットフォームを通じたこの啓発活動は、一過性のイベントではない。防災の知識は、繰り返し学ぶことで初めて咄嗟の行動に変わる。そしてその行動が、自分や誰かの命を救うことに直結するのだ。コート上での連携が勝利を生むように、「備える・動き・助け合う」チームワークを、この国の日常に根付かせていくことがB.Hopeの使命の一つである。