【EASL】B.LEAGUE王者としてのプライドを示したい、長崎ヴェルカの熊谷航「覚悟や責任を持って自分たちのバスケを」
「その国によって異なるバスケを経験できる」
2026-27シーズンのEASL(東アジアスーパーリーグ)には、B.LEAGUEから長崎ヴェルカ、琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京の3チームが出場する。昨シーズンのB.LEAGUEを制した長崎にとってEASLは初めての出場となる。それでも、釜山KCCイージスをハピネスアリーナに迎える10月14日の開幕戦を前に、チームは緊急事態に陥っている。
B.LEAGUE開幕となった9月23日の島根スサノオマジック戦で、試合開始からわずか4分でアキル・ミッチェルが右太ももの肉離れで戦線離脱し、インジュアリーリスト入り。チームはこの試合を64-89で落とし、そこから4連敗スタートとなったのだ。
ポイントガードの熊谷航は、「今はレギュラーシーズンで苦しい状況が続いています。まずプレシーズンでメンバーが揃っていなかったのもあるし、ケガ人も出てしまいました」と現状を語る。
「開幕戦で出たスタートの5人は練習したことのないラインナップで、それでもやっと選手が揃って試合で積み上げていこうとしたところでアキルがケガをして、他の選手がまだやっていないポジションをやるようになりました。もともとチームとして経験がないところで、今は(馬場)雄大さんが4番ポジションをやっていたり、ほぼ初めてのことをやっています。正直なところ、先のEASLより目の前のレギュラーシーズンのことを考えなきゃいけない状況です」
これまで、他のチームが参加するEASLを見ながら「タフなスケジュールの中で試合をしているので、本当に大変そうだなというイメージはありつつも、その国によって異なるいろんなバスケを経験できるのは、個人としてもチームとしても大きな経験だと思っていました」と熊谷は言う。
ただ、第三者として見ている分には「大変そうだな」で済んでも、今回は当事者としてEASLのコートに立つ以上、その意味と責任感を理解している。「僕たちは勝ち取って出場する、と考えています。日本からは3クラブしか出場できないので、そこはプライドを持ってやらないといけないと思っています」
開幕4連敗も「でもまだ4試合、ここからどうするか」
B.LEAGUEとEASL、2つの大会をこなす中でチームを立て直し、新しい長崎ヴェルカのバスケを確立する。それが熊谷の考え方だ。「昨シーズンとはだいぶ違うバスケをやっているので、コミュニケーションを大事にしながら試合の中でアジャストしていきます」
過去2シーズンの長崎は、超アグレッシブな『攻めのディフェンス』を志向していた。ガード陣が前から激しくプレッシャーを仕掛け、ビッグマンも常にハードショウをしてローテーションを繰り返す。それが今はリムプロテクトを最優先し、ペイントを守るためにヘルプを送り込む手堅いディフェンスに取り組んでいる。全く異なるディフェンスのコンセプトを取り入れる中で、過去2年間に染み付いた癖がまだ出てしまうこともある。先述の通り多くの選手が異なるポジションをこなし、さらに日替わりのローテーションの中で、新たなスタイルの習得に苦戦している。
「ラインナップが変わるとスペーシングなどいろんなことが変わって、その都度確認しないといけないので、そこのコミュニケーションはやはり重視しています。あとはポイントガードとして、正しいシュートを打つことは意識しています」
それでも開幕4戦目は京都ハンナリーズを相手に、第1クォーターで2-21と大きく出遅れ、そのまま65-90で大敗。復調のきっかけはなかなかつかめずにいる。
「まだ4試合ですから、ここからどうするかが大事です」と熊谷は言う。取材をしたのは10月6日で、信州ブレイブウォリアーズ、群馬クレインサンダーズ、神戸ストークスとの試合が1日おきに続く中で、その先のEASLまで意識を向けられないのも無理はない。まずは目の前の試合に集中することで、立ち直るきっかけをつかもうとしている。
「今日も良いミーティングができましたし、選手同士のミーティングもしました。そうやって少しずつ変わっていくと思いますが、危機感を持って一回の練習、一回のミーティングを大事にすることが次に繋がると思っています。その中で僕なりにポジティブになれる言葉掛けを意識しますが、まずは行動で示したいです。スプリントする、ルーズボールに飛び込む、プレッシャーをとにかく掛けるとか、僕は言葉よりも姿勢を見せるのが向いていると思っています」
「やっぱり勝っているチームにはその雰囲気がある」
そのポジティブさをEASLにどう向けていくか。「パブロ(アギラール)選手が来て、メンバーが揃って試合ができることが何よりのプラスです」と熊谷は語る。「B.LEAGUEのレギュラーシーズンとは違って、いろんなラインナップを使うことも含めてチャレンジができます。B.LEAGUEもレギュレーションが変わりましたし、EASLも入ってきて、練習よりも試合でアジャストしていきたい。試合数が多くなり、ゲームの中でアジャストできる機会が増えることをプラスに受け止めています」
「今の僕たちに何が足りないのかは分かっているので、そこをやり続ける継続性が大事です。試合の中で上手くできたことを見つけて、それを自信にしていく。それがEASLの試合なら『海外のチームにも通用した』と思えます。やっぱり勝っているチームにはその雰囲気があるんですよ。そうやって『今シーズンは何か行けそうだな』という雰囲気を作りたいです」
熊谷個人がEASLで楽しみにしているのは、「オンザコートルールが違うことで、いろんな選手がチャレンジできるのは一つ面白いところですよね。もう一つは良い選手は日本だけじゃなくアジアにもたくさんいることです」という2つだ。
グループステージで対戦する釜山KCCイージス(韓国)には、彼が対戦を楽しみにする選手が2人いる。「僕より1つ年上のホ・フン選手がいますよね。僕がマッチアップするポイントガードの選手で、日本にはないスタイルがあると思います。もう一人は大阪や北海道でプレーしたショーン・ロング選手。対戦するのが楽しみです」
熊谷は自分が感じているワクワクを、ファンにも味わってほしいと語る。「このチームにこんなに良い選手がいるんだ、という発見をしてもらいたいですね。もう一つは僕たちがやっているバスケが海外で通用するところを見て、楽しんでもらいたいです」
「出られるチームが限られている中で自分たちがEASLに出場します。その覚悟や責任を持って、しっかり良い内容のゲーム、自分たちらしいバスケができるように頑張りますので、是非応援してください」と熊谷はファンに呼び掛ける。
タフな試合をそうやって楽しみながら、チームを立て直し、上昇気流に乗せて勝っていく──。それが熊谷の目指すところだ。「勝つことはもちろんですが、やはり内容にはこだわりたいです。今やろうとしている速いペースだったり、一人ひとりが決められた役割を徹底して、オフェンスもディフェンスもアグレッシブに。そういう自分たちの目指すバスケをしっかり遂行して、その上で勝てたらと思います」
■EASL 2026-27シーズン グループステージ 開幕戦
2026年10月14日(水) 19:00 TIPOFF
長崎ヴェルカ vs 釜山KCCイージス
ハピネスアリーナ(長崎県長崎市)
チケット情報はこちら
インタビュー・文=鈴木制作所

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